ギアの素材を気にしはじめたあなたは、ゴルフの本質に近づいていることは確かです。
ギアの素材は、工業製品と化学製品の開発進化とともにあり、その上で『名器』と呼ばれるクラブが誕生しています。
今回はゴルフクラブの素材について深掘り、一覧にまとめています。
- ヘッド素材
- シャフト素材
- グリップ素材
最低限のギア素材の特徴を知ることで、最新のギアに気付き自分と相性ぴったりのクラブを迷うことなく選ぶことに役立ててください。
目次
はじめに.ギア素材一覧【永久保存版】
今回紹介しているギアの素材を一覧にまとめました。※表記は主な素材になります。
クラブヘッドの素材まとめ
ドライバーヘッド | ステンレス/チタン |
フェアウエイウッド/ ユーティリティヘッド |
ステンレス/チタン |
アイアン/ ウエッジヘッド |
ステンレス/軟鉄 |
パターヘッド | ステンレス (フェース面にブロンズ/アルミニウム合金/樹脂など) |
シャフト素材まとめ
スチールシャフト(軽量含む) | カーボンシャフトに比べトルクやしなり小さいので曲がりにくいデメリットは重く錆びる |
カーボンシャフト | 軽さとねじれやすさ |
スチールカーボン複合シャフト | 重厚感しっかり感がある上に軽く程よくねじれる |
グリップ素材まとめ
ラバー | ゴム素材・安価だが劣化しやすい |
エラストマー | 樹脂素材・頑丈だがちょっと高い |
素材の特徴を解説していきます。
1.ドライバーヘッドの素材
まずはドライバーの素材について深掘りしていきましょう。
ドライバーヘッドはチタン合金が主流です。最近は海外メーカーを中心にドライバーヘッドにカーボンコンポジットと呼ばれる複合素材のものが増えています。
ドライバーヘッドの金属の移り変わりをまとめてみました。
ステンレス(1980年後半)
1980年代後半から、ドライバーヘッド素材は、ステンレスが主流で『メタルヘッド』と呼ばれています。
ステンレスの特徴
メタルドライバーを世界で初めて開発したのは米のテーラーメイド。
チタン(1990年〜)
90年代にはステンレスより軽いチタンを使用したドライバーが主流となり現在に続いています。
チタンの特徴
チタン(元素記号はTi)とは、非常に安定な化合物です。
強度 | ◎一般の合金鋼と同等の強度を持つ |
軽さ | ◎鉄よりも軽い |
耐熱性 | ◎500℃の高温でも有効な強度を保つ |
腐食に耐える性能 | ◎ステンレス鋼・アルミニウムよりも圧倒的に有能 |
色彩 | ◎白色顔料として利用される |
価格 | ◎安価な金属 |
加工 | ◯ |
貴金属並みの耐食性を持つ金属の中で、もっとも軽く安価な金属と言えます。
チタンの持つ優れた耐食性・疲労特性がスポーツ用具、特にゴルフクラブ、スキーストック、テニスラケットに主に採用されています。それ以外では航空機・装甲・軍艦・宇宙船・ミサイルなど幅広く使用されています。
ドライバーヘッドとチタン
チタンドライバーを最初に販売開始したのは日本のミズノです。
特にチタンはステンレスよりも軽いことから、ヘッドを大きくすることができました。その特徴を生かし、ドライバーのヘッドの体積は90年代からどんどん大きくなり、今では3Wが昔のドライバーより大きいぐらいです。
しかし飛びすぎることから2008年にはヘッド体積460cc、慣性モーメント5900g㎠まで、クラブフェースの反発係数(COR値)0.83を上限と規定されてしまいます。
現在では各メーカーがこの規定内で、空気抵抗を減らしたりシャフトとのマッチングなどヘッド素材以外のものも含めた飛距離を伸ばすためと方向性を安定させるための開発競争をしています。
なんといってもメタルやチタンヘッドのメリットは軽いことと飛距離が伸びることが最大の特徴でした。
2.フェアウエイウッド&ウッド型ユーティリティの素材
FWやウッド型UTはドライバーと同じチタンorステンレスで作られています。
チタン合金 | 飛距離重視型 |
ステンレス | 方向性安定重視型 |
UTは1990代に出てきたゴルフクラブの歴史の中では一番新しいジャンルのクラブですが、当初からメタル素材で作られ、ロングアイアンを使えないアマチュアを中心に人気になりました。
3.アイアン&ウエッジアイアンクラブの素材
アイアンクラブはその名の通り鉄製で、ヘッド素材はステンレスか軟鉄というのが現代の定番です。
アイアン型UTもここに含まれます。全体的にはステンレスが主流ですが、特に日本では以前から軟鉄製ヘッドがプロや上級者に好まれています。
軟鉄(なんてつ)
軟鉄とは、炭素含有量が0.02パーセント以下と少ない軟らかい鉄のことです。柔らかいのでロフト角やライ角の調整がしやすいのも軟鉄のメリットです。
軟鉄には「S25C」や「S20C」といった表記があり、これは炭素含有率です。
S25C | 鉄に炭素が0.25%含まれている |
S20C | 鉄に炭素が0.20%含まれている(⇧より柔らかく打感が良い) |
「S25C」は鉄に炭素が0.25%含まれているということで、炭素含有率が少ないほど素材としては柔らかくなり、打感が良いとされています。
ステンレス
ステンレスとは、クロムを含んだ、さびない鋼鉄。比較的柔らかく、軟鉄のようにライ角の調整などもできる素材です。ステンレスのほうが錆に強く、手入れが楽というメリットがあります。
「SUS304」や「SUS630」という表記がされます。
アイアンのヘッド素材は、他の素材と構成され様々なものがあるのが特徴です。
飛距離アップのため | フェースにチタンを使う |
重心を下げるため | タングステンをソールやバックフェースの一部埋め込む |
打感を良くするため | 中空部分にラバー等を埋め込む |
自分の癖や目的によって素材からアイアンを選ぶのも一つですね。
4.パターの素材
パターの素材は、基本ステンレスですが、微妙な打感を実現するため、フェース面にはブロンズ(銅と錫の合金)やアルミニウム合金なども使われてきました。最近では樹脂系のインサート素材のパターも多くなっています。
打感だけでなく球の転がりや方向性の安定に貢献するものですがパターは千差万別ですので自分に合ったものを選ぶのはなかなか難しいです。
- ドライバーのヘッド素材
- フェアウエイウッド&ユーティリティのヘッド素材
- アイアン&ウエッジのヘッド素材
- パターのヘッド素材
について解説してきました。クラブを選ぶ上でぜひ参考にしてみてください。
5.シャフトの素材
シャフトの素材選びはヘッド以上に大事だと言われています。メーカーや知名度ではなく素材の性質で選ぶことを強くおすすめします。
スチールシャフトの特徴
スチールシャフトは100年以上前の1914年に開発され最も古くからシャフトに使われている素材。100g以上の重さが難点でしたが、炭素にクロム/モリブデンやニッケルなどを複数添加した特殊鋼を使用し、強度を高めて軽量化した90g以下の軽量スチールが開発され一般化しました。
スチールシャフトのメリット
スチールシャフトはボールをコントロールしたい人やピンポイントで狙いたい人におすすめで、主流としてはプロや上級者向けです。
- カーボンシャフトに比べトルクやしなり小さいので曲がりにくいこと
- 振った時のしっかり感
- 番手ごとの距離をしっかり打ち分けられる
スチールシャフトのデメリット
スチールシャフトのデメリット、錆には注意が必要で、ある程度手入れが必要です。重いので軽量スチールを選ぶ人が多いです。
カーボンシャフト
カーボンシャフトのメリットは、ずばり軽さとねじれやすさです。開発当時(1965年)は、不安定なもので低評価だったが改良が進みパワーヒッターでも安定した性能を発揮人気が高いです。
スチールよりトルクやしなりが大きくでき、軽いのでヘッドスピードも上がります。その結果飛距離アップにつながります。
軽いものから重いもの、硬さなど自由自在に作れるメリットもあり、これがドライバーとフェアウエイウッドは、ほぼ100%カーボンシャフトになっている理由です。
開発が進み、UT系やアイアン、ウエッジまでカーボンシャフトは使われており、まさにゴルフギアの歴史作ったと言える素材です。
【軽量スチールからカーボンシャフトに変えてみた】
アイアンシャフトを軽量スチールからカーボンシャフトに変えたのですが、18ホールラウンドした後の腰や方の疲れが明らかに違います。カーボンのほうが身体への負担が少ないのも大きなメリットです。錆の心配もなく手入れも楽です。
スチールとカーボンの複合シャフト
ここ数年出てきている新しいシャフトで、カーボンをベースに金属を複合させたものです。
スチールのメリットとカーボンのメリットを合わせたいいとこ取りのシャフトです。重厚感しっかり感がある上に軽く程よくねじれます。
フジクラから出ている「MCI」「MCH」がおすすめです。
画像参考:フジクラ
パターシャフトでおすすめなのが、オデッセイのスチールとカーボンを複合させたシャフトで普通のスチールより約40gも軽量化し、軽量分をヘッドとグリップに配分して慣性モーメントを最大化しパッティングのストロークとテンポを安定します。参考:オデッセイ
6.グリップの素材
最後に唯一プレーヤーとの接点でもあるグリップの素材を深掘りしていきましょう。グリップの種類は加えて重さや太さ、バックラインあり・なしもあり、人によって握る強さや摩擦が起こる場所も違うため、完全に好みで選ぶのがおすすめです。
ラバーグリップ
ラバーグリップは、天然ゴムが原料です。握った時のしっかり感を出すためにラバーに繊維を組み込んだ「コード」加工されたものもあります。
ラバーのメリット
- 安い(1本800円ぐらい)
- しっとりとした握り感
- 昔からあるので愛用者が多い
ラバーのデメリット
- 水に弱いので、雨手汗が多い方におすすめしない
- 劣化が早くワンシーズンで交換が必要
- 安価だが交換頻度が多い
エラストマーグリップ
樹脂素材のエラストマーグリップです。
エラストマーのメリット
- カラーやデザインが豊富
- 雨や汗に強い
- 耐久性
エラストマーのデメリット
- 価格が比較的高い(2000円3000円というのもあります)
- 硬めの質感
- ラバーに比べ劣化しにくい
まとめ
ゴルフクラブの素材の話いかがでしたか?今後20年30年後にはまた新しい技術、素材が出てくるでしょう。新しい素材はプレーに大きく貢献してくれます。長くゴルフを楽しみんでいくことにつながりますので時間がある時にでもギアの素材に注目してみてください。
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