ゴルフクラブの素材にこだわり始めたあなたは、ゴルフの本質に一歩近づいていると言えるでしょう。
ゴルフギアの素材は、工業技術や化学技術の進化とともに発展してきました。そして、その結果、今では「名器」と呼ばれるような素晴らしいクラブが生まれています。
今回は、ゴルフクラブの素材について詳しく解説し、以下のポイントをまとめました。
- ヘッド素材
- シャフト素材
- グリップ素材
これらの素材の特徴を理解することで、最新のクラブの違いが分かり、あなたにぴったりのギアを選ぶ手助けになるはずです。自分に最適なクラブを迷うことなく選ぶために、ぜひ参考にしてください。
目次
はじめに.ゴルフクラブのヘッド素材の選び方
ゴルフクラブのヘッドは、素材によって打感や飛距離、コントロールの感覚が大きく変わります。以下の素材ごとの特徴を理解して、自分に合ったものを選びましょう。
ヘッド素材の種類と特徴
ドライバーヘッド | ステンレス/チタン |
フェアウエイウッド/ ユーティリティヘッド |
ステンレス/チタン |
アイアン/ ウエッジヘッド |
ステンレス/軟鉄 |
パターヘッド | ステンレス (フェース面にブロンズ/アルミニウム合金/樹脂など) |
ステンレススチール
- 錆びにくく、耐久性が高い
- 高い打音と打感が特徴
- よく使われるモデル(例: キャロウェイ、テーラーメイドなど)
- メリット: 高い耐久性と安定した打感
- デメリット: 軽さや飛距離の面では他の素材に劣ることがある
チタン
- 軽量で高強度、反発力が高い
- 飛距離アップが期待できる
- 高級モデルやドライバーでよく使用
- メリット: 高い反発力と飛距離性能
- デメリット: 高価で、硬めの打感が好まないプレイヤーもいる
カーボン
- 軽量化を重視したヘッド
- ヘッドスピードの向上に寄与
- 特にフェアウェイウッドやドライバーに採用されることが多い
- メリット: 軽量で振りやすく、ヘッドスピードを上げやすい
- デメリット: 耐久性がやや劣る場合がある
鋳鉄
- 打感が柔らかく、コントロール性能が高い
- アイアンヘッドで使用されることが多い
- メリット: 柔らかい打感と高いコントロール性
- デメリット: 飛距離に対してはチタンに劣る
ドライバーヘッドの素材
まずはドライバーの素材について深掘りしていきましょう。
現在、ドライバーヘッドに使われている素材で最も一般的なのは、チタン合金です。軽量で強度が高く、反発力に優れているため、飛距離を最大化するために最適な素材とされています。
最近では、特に海外メーカーを中心に、カーボンコンポジットと呼ばれる複合素材を採用したドライバーヘッドが増えています。カーボンと金属を組み合わせることで、さらに軽量化が進み、ヘッドスピードの向上や、より大きな反発力が得られるのが特徴です。
ドライバーヘッドの素材は時代と共に進化しており、金属の変遷を振り返ると、その進化の歴史が見えてきます。次に、ドライバーヘッドに使われてきた金属の変遷についてまとめてみました。
ステンレス(1980年後半)
1980年代後半から、ドライバーヘッド素材は、ステンレスが主流で『メタルヘッド』と呼ばれています。
ステンレスの特徴
メタルドライバーを世界で初めて開発したのは米のテーラーメイド。
チタン(1990年〜)
90年代にはステンレスより軽いチタンを使用したドライバーが主流となり現在に続いています。
チタンの特徴
チタン(元素記号はTi)とは、非常に安定な化合物です。
強度 | ◎一般の合金鋼と同等の強度を持つ |
軽さ | ◎鉄よりも軽い |
耐熱性 | ◎500℃の高温でも有効な強度を保つ |
腐食に耐える性能 | ◎ステンレス鋼・アルミニウムよりも圧倒的に有能 |
色彩 | ◎白色顔料として利用される |
価格 | ◎安価な金属 |
加工 | ◯ |
チタンは、貴金属並みの耐食性を持ちながら、軽量で比較的安価な金属です。この特性により、様々な分野で利用されています。
特にスポーツ用具、例えばゴルフクラブやスキーストック、テニスラケットなどには、チタンの優れた耐食性や疲労特性が活かされています。また、チタンはその強度と軽さから、航空機や装甲、軍艦、宇宙船、さらにはミサイルなどにも幅広く使用されています。
ドライバーの未来を変えたチタンの力
チタンドライバーを最初に販売したのは、日本のミズノです。チタンはステンレスよりも軽いため、ヘッドを大きくすることができ、その特性を活かして、ドライバーのヘッド体積は1990年代からどんどん大きくなりました。今では、3番ウッドのヘッドが昔のドライバーよりも大きいくらいです。
しかし、飛距離が飛躍的に伸びすぎたため、2008年にはヘッド体積が460cc、慣性モーメントが5900g・㎠、そしてクラブフェースの反発係数(COR値)が0.83を上限とする規定が設けられました。
現在、各メーカーはこの規定内で、空気抵抗を減らすための工夫や、シャフトとのマッチングを調整しながら、飛距離をさらに伸ばすための開発競争を繰り広げています。さらに、方向性の安定性を高めるための技術革新も進んでいます。
メタルやチタンヘッドの最大のメリットは、軽量で飛距離が伸びることです。これがゴルファーにとって大きな魅力となり、現在のドライバーに多く採用される理由です。
フェアウエイウッド&ウッド型ユーティリティの素材
FWやウッド型UTはドライバーと同じチタンorステンレスで作られています。
チタン合金 | 飛距離重視型 |
ステンレス | 方向性安定重視型 |
UTは1990代に出てきたゴルフクラブの歴史の中では一番新しいジャンルのクラブですが、当初からメタル素材で作られ、ロングアイアンを使えないアマチュアを中心に人気になりました。
アイアン&ウエッジアイアンクラブの素材
アイアンクラブはその名の通り鉄製で、ヘッド素材はステンレスか軟鉄というのが現代の定番です。
アイアン型UTもここに含まれます。全体的にはステンレスが主流ですが、特に日本では以前から軟鉄製ヘッドがプロや上級者に好まれています。
軟鉄(なんてつ)
軟鉄とは、炭素含有量が0.02パーセント以下と少ない軟らかい鉄のことです。柔らかいのでロフト角やライ角の調整がしやすいのも軟鉄のメリットです。
軟鉄には「S25C」や「S20C」といった表記があり、これは炭素含有率です。
S25C | 鉄に炭素が0.25%含まれている |
S20C | 鉄に炭素が0.20%含まれている(⇧より柔らかく打感が良い) |
「S25C」は鉄に炭素が0.25%含まれているということで、炭素含有率が少ないほど素材としては柔らかくなり、打感が良いとされています。
ステンレス
ステンレスとは、クロムを含んだ、さびない鋼鉄。比較的柔らかく、軟鉄のようにライ角の調整などもできる素材です。ステンレスのほうが錆に強く、手入れが楽というメリットがあります。
「SUS304」や「SUS630」という表記がされます。
アイアンのヘッド素材は、他の素材と構成され様々なものがあるのが特徴です。
飛距離アップのため | フェースにチタンを使う |
重心を下げるため | タングステンをソールやバックフェースの一部埋め込む |
打感を良くするため | 中空部分にラバー等を埋め込む |
自分の癖や目的によって素材からアイアンを選ぶのも一つですね。
パターの素材
パターの素材は、基本ステンレスですが、微妙な打感を実現するため、フェース面にはブロンズ(銅と錫の合金)やアルミニウム合金なども使われてきました。最近では樹脂系のインサート素材のパターも多くなっています。
打感だけでなく球の転がりや方向性の安定に貢献するものですがパターは千差万別ですので自分に合ったものを選ぶのはなかなか難しいです。
- ドライバーのヘッド素材
- フェアウエイウッド&ユーティリティのヘッド素材
- アイアン&ウエッジのヘッド素材
- パターのヘッド素材
クラブを選ぶ上で素材の特徴もぜひ参考にしてみてください。
2.ゴルフクラブのシャフト素材の選び方
シャフトの素材選びは、スイングや飛距離に大きな影響を与えます。
シャフト素材の種類と特徴
スチールシャフト(軽量含む) | カーボンシャフトに比べトルクやしなり小さいので曲がりにくいデメリットは重く錆びる |
カーボンシャフト | 軽さとねじれやすさ |
スチールカーボン複合シャフト | 重厚感しっかり感がある上に軽く程よくねじれる |
シャフトの素材選びはヘッド以上に大事だと言われています。メーカーや知名度ではなく素材の性質で選ぶことを強くおすすめします。
スチールシャフトの特徴
スチールシャフトは100年以上前の1914年に開発され最も古くからシャフトに使われている素材。100g以上の重さが難点でしたが、炭素にクロム/モリブデンやニッケルなどを複数添加した特殊鋼を使用し、強度を高めて軽量化した90g以下の軽量スチールが開発され一般化しました。
スチールシャフトのメリット
スチールシャフトはボールをコントロールしたい人やピンポイントで狙いたい人におすすめで、主流としてはプロや上級者向けです。
- カーボンシャフトに比べトルクやしなり小さいので曲がりにくいこと
- 振った時のしっかり感
- 番手ごとの距離をしっかり打ち分けられる
スチールシャフトのデメリット
スチールシャフトのデメリット、錆には注意が必要で、ある程度手入れが必要です。重いので軽量スチールを選ぶ人が多いです。
カーボンシャフトの特徴
カーボンシャフトのメリットは、ずばり軽さとねじれやすさです。開発当時(1965年)は、不安定なもので低評価だったが改良が進みパワーヒッターでも安定した性能を発揮人気が高いです。
スチールよりトルクやしなりが大きくでき、軽いのでヘッドスピードも上がります。その結果飛距離アップにつながります。
軽いものから重いもの、硬さなど自由自在に作れるメリットもあり、これがドライバーとフェアウエイウッドは、ほぼ100%カーボンシャフトになっている理由です。
開発が進み、UT系やアイアン、ウエッジまでカーボンシャフトは使われており、まさにゴルフギアの歴史作ったと言える素材です。
【軽量スチールからカーボンシャフトに変えてみた】
アイアンシャフトを軽量スチールからカーボンシャフトに変えたのですが、18ホールラウンドした後の腰や方の疲れが明らかに違います。カーボンのほうが身体への負担が少ないのも大きなメリットです。錆の心配もなく手入れも楽です。
スチールとカーボンの複合シャフト
ここ数年出てきている新しいシャフトで、カーボンをベースに金属を複合させたものです。
スチールのメリットとカーボンのメリットを合わせたいいとこ取りのシャフトです。重厚感しっかり感がある上に軽く程よくねじれます。
フジクラから出ている「MCI」「MCH」がおすすめです。
画像参考:フジクラ
パターシャフトでおすすめなのが、オデッセイのスチールとカーボンを複合させたシャフトで普通のスチールより約40gも軽量化し、軽量分をヘッドとグリップに配分して慣性モーメントを最大化しパッティングのストロークとテンポを安定します。参考:オデッセイ
3.ゴルフクラブのグリップ素材の選び方
グリップの素材選びは、握りやすさとフィーリングに直結します。
グリップ素材の種類と特徴
ラバー | ゴム素材・安価だが劣化しやすい |
エラストマー | 樹脂素材・頑丈だがちょっと高い |
ラバー
- 最も一般的でコストパフォーマンスが高い
- 滑りにくく、握りやすい
- 手汗をかきやすい人にも向いている
ラバーグリップは、天然ゴムが原料です。握った時のしっかり感を出すためにラバーに繊維を組み込んだ「コード」加工されたものもあります。
ラバーのメリット
- 安い(1本800円ぐらい)
- しっとりとした握り感
- 昔からあるので愛用者が多い
ラバーのデメリット
- 水に弱いので、雨手汗が多い方におすすめしない
- 劣化が早くワンシーズンで交換が必要
- 安価だが交換頻度が多い
レザー
- 高級感があり、使うほどに手に馴染む
- 滑りやすくなることがあるため、注意が必要
- 長期間使用したい人におすすめ
ウレタン
- 柔らかく、グリップ力が高い
- グリップの安定性を重視するプレイヤー向け
エラストマー
- 防振性に優れ、振動を抑える
- 手にフィットしやすく、長時間プレイしても疲れにくい
樹脂素材のエラストマーグリップです。
エラストマーのメリット
- カラーやデザインが豊富
- 雨や汗に強い
- 耐久性
エラストマーのデメリット
- 価格が比較的高い(2000円3000円というのもあります)
- 硬めの質感
- ラバーに比べ劣化しにくい
まとめ
ゴルフクラブの素材の話いかがでしたか?今後20年30年後にはまた新しい技術、素材が出てくるでしょう。新しい素材はプレーに大きく貢献してくれます。長くゴルフを楽しみんでいくことにつながりますので時間がある時にでもギアの素材に注目してみてください。
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