アプローチとは、グリーン周辺から旗(ピン)を狙うショットのことです。
具体的には、グリーンまで残り100ヤード以内、多くの場合30〜50ヤード程度の距離から、ボールをピンに寄せるショットを指します。「寄せ」とも呼ばれ、スコアメイクにおいて最も重要な技術のひとつ。正直、ドライバーで20ヤード飛距離が伸びるより、アプローチが上手くなる方が圧倒的にスコアは良くなります。
僕自身、以前はパーオン率が低くても90台後半をウロウロしていましたが、アプローチ練習に本気で取り組んでから、同じパーオン率でも80台前半で回れるようになりました。それくらい、このショットはスコアに直結するんです。
1.なぜアプローチが重要なのか

アマチュアゴルファーのパーオン率は、平均で約2〜3ホール程度といわれています。つまり、18ホール中15回程度はグリーンを外してしまう計算になります。
この状況で「寄せワン」(アプローチでピンに寄せてワンパット)が取れるかどうかが、スコアを大きく左右するわけです。
- パーオン失敗→アプローチミス→3パット = ダブルボギー
- パーオン失敗→アプローチ成功→1パット = パー
この差は歴然ですよね。プロゴルファーがパーオン率が高いのに加えて、外してもスコアを崩さないのは、アプローチ技術が卓越しているからなんです。
2.アプローチの基本的な種類

グリーン周りの状況に応じて、使い分けるべきアプローチショットは大きく分けて3種類あります。
ピッチエンドラン(ピッチショット)
ボールを高く上げて、着地後に少し転がすショット。グリーンエッジから5〜10ヤード程度の距離があるときに有効です。
使用クラブ: AW(アプローチウェッジ)、SW(サンドウェッジ) 転がり比率: キャリー7:ラン3程度
グリーンまでの間に障害物(バンカーや起伏)があるときや、ピンがエッジから近い位置にあるときに選択します。
ピッチ&ラン
ボールを低めの弾道で打ち出し、着地後によく転がすショット。グリーンエッジまでの距離が短く、グリーン面を広く使える状況で有効です。
使用クラブ: PW(ピッチングウェッジ)、9番アイアン 転がり比率: キャリー3:ラン7程度
最も距離感が合わせやすく、ミスに寛容なアプローチです。可能な限り、このショットを選択するのがスコアメイクのセオリーと言われています。
ロブショット
ボールを非常に高く上げて、ほとんど転がさずに止めるショット。バンカー越えや、ピンがエッジから非常に近い状況など、限られた場面で使います。
使用クラブ: SW(サンドウェッジ)、LW(ロブウェッジ) 転がり比率: キャリー9:ラン1程度
難易度が高く、ミスすると大叩きに繋がるリスクも。状況によっては避けるべきショットです。
かつて僕も、見栄を張ってロブショットを多用していた時期がありました。千葉県の船橋カントリークラブでのラウンド中、バンカー越えで無理にロブを打とうとして、3回連続でザックリ。結局そのホールは「9」を叩いてしまい、同伴者に申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。それ以来、「できる限りシンプルな選択を」というのが僕のモットーです。
3.アプローチで使用する主なクラブ

PW(ピッチングウェッジ)|ロフト角44〜48度
最も飛距離が出るウェッジで、フルショットで100〜120ヤード程度。アプローチではピッチ&ランに使用します。
転がりが多いため、グリーンまでの障害物が少ない状況で活躍します。
AW(アプローチウェッジ)|ロフト角50〜52度
PWとSWの中間的な存在。フルショットで90〜100ヤード程度。
バランスの取れたロフト角で、キャリーと転がりのバランスが良く、多くの状況に対応できる万能クラブです。
SW(サンドウェッジ)|ロフト角54〜58度
バンカーショットとアプローチの両方に使用。フルショットで70〜90ヤード程度。
ボールを高く上げやすく、バンカー越えやラフからのアプローチに適しています。
おすすめモデル例:
- クリーブランド RTX ZipCore ウェッジ https://www.clevelandgolf.com/ スピン性能に優れ、多くのツアープロも使用
LW(ロブウェッジ)|ロフト角60〜64度
最もロフトが大きく、ボールを高く上げて止めるために特化したクラブ。フルショットで50〜70ヤード程度。
使いこなせれば武器になりますが、初心者には扱いが難しいクラブでもあります。
4.アプローチの基本的な打ち方
アドレス(構え方)
- スタンス幅: 肩幅よりやや狭め(30〜40cm程度)
- 体重配分: 左足6:右足4(右打ちの場合)
- ボール位置: スタンス中央からやや左寄り
- グリップ: 短く握る(グリップエンド1〜2インチ余らせる)
- オープンスタンス: 目標よりやや左を向く
狭いスタンスで体重を左足寄りにすることで、安定した打点とダウンブローな軌道が実現できます。
バックスイング
- コンパクトに: 手首を過度に使わず、肩の回転で上げる
- 振り幅: 距離に応じて調整(腰の高さ〜肩の高さ)
- リズム: ゆったりとしたテンポを意識
アプローチでよくあるミスが「手首の使いすぎ」です。手首をこねると、ダフリやトップの原因になります。
ダウンスイング〜インパクト
- 体重移動: 左足へしっかり体重を乗せる
- ハンドファースト: インパクトで手元がボールより前
- フェースの開閉: 最小限に抑える
- 目線: ボールの先(ターゲット方向)を見続ける
ハンドファーストのインパクトが作れると、ボールを「拾う」のではなく「押し込む」感覚でヒットでき、スピンもかかりやすくなります。
フォロースルー
- 加速: インパクト後も減速せず振り抜く
- 低いフォロー: 手元を低く保ち、ボールを抑える
- バランス: フィニッシュで左足に体重が完全に乗る
「距離を合わせよう」と意識しすぎて、インパクトで緩むのは絶対NGです。距離の調整は振り幅で行い、振り抜くスピードは一定に保つのがコツです。
5.状況別アプローチの選択

グリーンエッジまで5ヤード以内の場合
おすすめ: パターorピッチ&ラン(9番アイアン、PW)
グリーンエッジに近い場合、無理にウェッジで上げる必要はありません。パターで転がすか、9番アイアンでランニングアプローチが最もミスが少ないです。
「カラーはグリーンの一部」と考え、積極的にパターを使うのがスコアメイクの鉄則です。
グリーンエッジまで10〜20ヤードの場合
おすすめ: ピッチ&ラン(PW、AW)
キャリーで半分程度グリーンに乗せ、残りを転がす計算です。着地点をグリーンエッジから2〜3歩入ったあたりに設定するとイメージしやすくなります。
バンカー越え・障害物がある場合
おすすめ: ピッチショット(AW、SW)
障害物を越える必要がある場合は、ボールを高く上げざるを得ません。SWでしっかりキャリーを出し、グリーン面での転がりを計算に入れます。
ピンがエッジから5ヤード以内の場合
おすすめ: ロブショット(SW、LW)
ピンが非常に近く、止める必要がある場合の最終手段。フェースを開き、ボールの下をカットするように打ちます。
ただし、本当に必要な状況以外は避けるべきです。多少ピンから離れても、グリーンに確実に乗せる方がスコアは良くなります。
6.アプローチ練習方法

距離感を養う「時計ドリル」
- 8時、9時、10時の振り幅を決める
- それぞれの振り幅でどれだけ飛ぶか把握
- 同じクラブで複数の距離を打ち分ける
最初は8時の振り幅で30ヤード、9時で50ヤード、10時で70ヤードなど、自分の基準を作ることが大切です。
片手打ちドリル
左手(右打ちの場合)だけでアプローチを打つ練習。右手の過度な介入を防ぎ、左手リードのスイングが身につきます。
最初は10ヤード程度の短い距離から始めると良いでしょう。
ターゲット練習
練習場にあるグリーンやマットに目標を設定し、その周囲1メートル以内に落とす練習。
意識するポイント:
- 単に「何ヤード飛ばすか」ではなく「どこに落とすか」
- 着地点を明確にイメージ
- 結果を毎回記録(10球中何球成功したか)
漫然と打つのではなく、「10球中8球は成功させる」といった具体的な目標を持つと、集中力が格段に上がります。
実践に近い練習「ワンボールゲーム」
1球だけ打ったら終わり、という練習方法。ラウンド本番では打ち直しができないため、この緊張感を練習で再現します。
「今日の練習で各距離を1回ずつしか打たない」と決めるだけで、集中力と意思決定力が養われます。
7.アプローチでよくあるミス

ダフリ(手前の地面を叩く)
原因:
- 右足に体重が残っている
- すくい打ちになっている
- 手首を使いすぎている
改善方法: 体重を左足に乗せ、ハンドファーストでボールを捉える意識を持ちましょう。「ボールの先のターフを取る」イメージで打つと改善します。
トップ(ボールの上を叩く)
原因:
- ダフリを恐れて上体が起きる
- インパクトで目線が先に動く
- 体重が右に残る
改善方法: アドレス時の前傾角度をキープし、ボールをよく見続けること。インパクト後も頭の位置を動かさないことが重要です。
距離感が合わない
原因:
- 振り幅が毎回バラバラ
- インパクトで減速する
- クラブ選択が間違っている
改善方法: 距離は振り幅で調整し、振るスピードは一定に保つこと。また、自分の各クラブの飛距離をしっかり把握しておくことが前提です。
方向性が悪い
原因:
- フェース面が不安定
- 体の開きが早い
- 振り幅が大きすぎる
改善方法: コンパクトなスイングを心がけ、フェース面を常に目標に向けることを意識します。大振りは禁物です。
僕の失敗談ですが、埼玉県の武蔵カントリークラブでのラウンド時、「もっと飛ばさなきゃ」と焦って大振りしたところ、方向性が乱れて5回連続でグリーンを外しました。それ以降、「振り幅は小さく、確実に」を徹底しています。
8.アプローチ上達のための考え方

「寄せる」より「入れる」意識
アプローチを打つとき、「とりあえず寄せよう」ではなく、「カップに入れてやる」くらいの強気な気持ちが大切です。
結果的に2メートルに寄れば十分ですが、「入れる」つもりで打つことで、ターゲットへの集中力が高まります。
リスクマネジメント
無理な攻めはスコアを崩す原因です。
- ピンが手前なら奥から攻める
- 傾斜がきついなら平らな場所を狙う
- バンカーを無理に越えるより、手前に刻む
「カッコいいショット」より「スコアになるショット」を選択する勇気が、上級者への第一歩です。
ルーティンを決める
毎回同じ手順でアプローチに臨むことで、メンタルが安定します。
僕のルーティン例:
- ボールからピンまでの距離を歩測
- 使うクラブを決定
- 素振り2回
- アドレス→一度目線をピンに→ボールに戻す
- 打つ
この流れを毎回繰り返すことで、緊張する場面でも自動的に体が動くようになります。
9.プロから学ぶアプローチ技術

タイガー・ウッズのアプローチ哲学
タイガーは「練習の7割はショートゲーム」と公言しています。彼のアプローチの特徴は、シンプルで再現性の高いスイング。
複雑なテクニックではなく、基本に忠実な動きを徹底することで、プレッシャーのかかる場面でもミスを最小限に抑えています。
松山英樹選手のアプローチ
松山選手のアプローチは、フェースコントロールの精度が抜群です。特にラフからのアプローチでは、ボールとフェースの間に芝が挟まる「フライヤー」を計算に入れた番手選択とスイングをしています。
一般アマチュアも、ラフからは1番手大きめのクラブで、振り幅を抑えて打つと安定します。
10.ラウンドで使えるアプローチのコツ

傾斜地からのアプローチ
つま先上がり:
- ボールは左に飛びやすい
- 目標よりやや右を狙う
- 番手を1つ下げる
つま先下がり:
- ボールは右に飛びやすい
- 目標よりやや左を狙う
- 膝を深く曲げて構える
左足上がり:
- ボールは高く上がりやすい
- 番手を1つ上げる
- 傾斜なりに立つ
左足下がり:
- ボールは低く出やすい
- 無理に上げずに転がす選択も
- 傾斜なりに立つ
ラフからのアプローチ
ラフからは、芝がボールとフェースの間に挟まり、スピンがかかりにくくなります。
対策:
- 着地後に転がることを前提に、手前から攻める
- SWよりもAWやPWで低く出す選択も有効
- フェースを被せ気味にして、芝の抵抗を減らす
千葉県の真名カントリークラブは比較的ラフが深めで有名ですが、https://www.accordiagolf.com/guide/3570037/ ここで学んだラフ対策は、その後のラウンドで大いに役立ちました。
11.アプローチに適したゴルフ場
河口湖カントリークラブ(山梨県)
グリーン周りのバンカーが戦略的に配置され、アプローチ技術が試されるコース。富士山の絶景を楽しみながら、多彩なアプローチショットを楽しめます。
https://www.accordiagolf.com/guide/3570010/
東京よみうりカントリークラブ(東京都)
起伏に富んだグリーン周りで、傾斜地からのアプローチ練習に最適。都心からのアクセスも良好です。
https://www.yomiuri-cc.co.jp/
まとめ:アプローチ上達がスコアアップの近道
アプローチとは、グリーン周辺から旗を狙うショットのことで、スコアメイクにおいて最重要な技術です。
アプローチ上達のポイント:
- 状況に応じて適切なクラブと打ち方を選択
- シンプルで再現性の高いスイングを身につける
- 距離感は振り幅で調整し、振るスピードは一定に
- 無理な攻めを避け、確実にグリーンに乗せる選択を
- ルーティンを決めて、メンタルを安定させる
正直なところ、僕もアプローチには長年苦しめられました。特に、ダフリとトップを交互に繰り返していた時期は、本当にゴルフが嫌になりかけたこともあります。
でも、基本に立ち返り、シンプルなスイングを繰り返し練習することで、今では最も自信を持てるショットになりました。接待ゴルフでも、アプローチが決まると「おお!」と言ってもらえますし、何より自分のスコアが目に見えて改善していくのが楽しいんです。
アプローチは「センス」ではなく「練習量」で必ず上達します。この記事で紹介したポイントを意識して、ぜひ練習してみてください。次のラウンドでは、きっと今までとは違う結果が待っているはずです。
さあ、次のラウンドではアプローチでビシッと決めて、同伴者を驚かせましょう!





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