ゴルフのクラブ選びは、技術の進化とともに常に変化しています。その中でも、テーラーメイドのMシリーズは多くのゴルファーに愛され、長年の間にわたり信頼を得てきました。
しかし、Mシリーズの次に登場したSIMシリーズは、果たしてMシリーズを超える実力を持っているのでしょうか?この記事では、SIMシリーズの特徴を徹底解説し、その実力がどこまで進化したのか、Mシリーズとの違いを探っていきます。
目次
1. SIMシリーズの新技術と特徴
テーラーメイドのSIMシリーズは、これまでのMシリーズのテクノロジーを引き継ぎつつ、いくつかの革新的な技術を搭載しています。その代表的なものをいくつかご紹介します。
SIM(Shape In Motion)テクノロジー
SIMシリーズの最大の特徴は、クラブヘッドの形状を動的に進化させた「Shape In Motion」テクノロジーです。これにより、スイング時の空気抵抗を減少させ、ヘッドスピードの向上と飛距離を実現しました。この設計によって、エネルギー効率が改善され、従来のMシリーズよりもより高い飛距離性能を誇ります。
ジオコースティック・デザイン
SIMシリーズには「ジオコースティック・デザイン」が採用され、クラブヘッド内部の音響調整が行われています。この技術によって、打感がよりマイルドでありながら、反発性能を最大化する設計になり、打音にもこだわりを感じさせます。
スライディング・ウェイトシステムの進化
SIMシリーズでは、「スライディング・ウェイトシステム」がさらに精密に調整可能となり、ゴルファー自身のプレースタイルに合わせて弾道やスピン量を簡単にカスタマイズできます。この調整機能により、風やコースの特性に応じた最適なショットが可能になります。
2.テーラーメイドSIMシリーズまとめ
2020年2月、SIMシリーズの発売がスタートしました。2021年11月現在までにリリースされているのは次項です。抜けがあったらすみません。
- SIM(ドライバー/ウェアウェイウッド)
- SIM MAX(ドライバー/ウェアウェイウッド/レスキュー/アイアン)
- SIM MAX・OS(アイアン)
- SIM MAX・D(ドライバー/フェアウェイウッド)
- SIM MAX・ウィメンズ(ドライバー/ウェアウェイウッド/レスキュー/アイアン)
- SIM2(ドライバー/フェアウェイウッド/レスキュー)
- SIM2 MAX(ドライバー/フェアウェイウッド/レスキュー/アイアン
- SIM2 MAX・D(ドライバー/フェアウェイウッド/アイアン)
- SIM2 MAX・Dウィメンズ(ドライバー/フェアウェイウッド)
- SIM2 MAXウィメンズ(レスキュー/アイアン)
- SIM GLOIRE(メンズ・ウイメンズ ドライバー/フェアウェイウッド/レスキュー/アイアン)
それぞれの特徴・スペックを出来る限りわかりやすくまとめたいとおもいます。思ったよりも種類が多かったので気になるシリーズだけ見てください。
3.Mシリーズとの違い
SIMシリーズは、Mシリーズから進化したポイントがいくつかあります。その主な違いは次の通りです。
反発性能の向上
Mシリーズに搭載されていた「ハンマーヘッド・2.0スピードポケット」に代わり、SIMシリーズでは反発性能が一層強化されました。特にフェース下部での打点でも初速を維持できるため、ミスヒットにも強く、より安定した飛距離を提供します。
飛距離と直進性の強化
Mシリーズでは飛距離と寛容性が重視されていましたが、SIMシリーズでは飛距離性能がさらに向上し、直進性を高める設計がされています。この改良により、ミスヒット時でも安定した飛距離が得られるようになり、ゴルファーのスコアアップにも寄与しています。
スイートエリアと操作性の進化
SIMシリーズはスイートエリアが広がり、操作性も向上しました。特に、弾道やスピン量を調整する精度が高く、上級者だけでなく、初心者にも使いやすい設計となっています。
4.SIMの特徴
SIMシリーズはMシリーズで好評だったミスヒットをミスショットにしないフェース機能と、最大にした反発性能を継承しました。発売からもう直ぐ1年がはつので少し安くなってきていますね。評判的にはSIMMAXの方が評判が上々のようです。
SIMの特徴
SIMシリーズは、ブルーのラインがクールなイメージを与え、出っ張った形の新形状は、低重心でありながらも、高慣性モーメントを実現しミスに強い寛容性を維持しました。
SIMシリーズの大きな特徴はたくさんありますがその中でも特に知っておきたいのが次項の2つです。
重心距離を調節できる(SIMだけの機能)
SIMドライバーだけに搭載されているスライディングウエイトは、レール上の10gのウエイトを動かすことにより、ドローやフェードの弾道調整を行います。ロフト角±2°調整ができるシフトスリーブもあるので、自分好みにカスタマイズできます。
フェアウェイウッドにはVスチールソールが復活採用
SIMフェアウェイウッドには、Vスチールソールが復活しています。
Vスチールソールとは
Vスチールソールとは2003年に発売され抜けの良さが好評でした。なぜなら、地面との接触面積が少ない形状で、ボールを打つ時、芝を切り分けるようにボールを打つことができ、ラフからの脱出をアシストしてくれるのです。
このVスチールの復活は長年のゴルファー歴がある人にとっては懐かしく頼もしく感じられることでしょう。
SIM使用ツアー戦績
MシリーズからアップグレードしたSIMシリーズは、トッププロのツアー優勝にも大きく貢献しています。
- 2020年1月:ルーカス・ハーバート 「オメガ・ドバイデザートクラシック」優勝
- 2020年2月:ニック・テイラー 「AT&T ペブルビーチ プロアマ」優勝
- 2020年3月:サミ・バリマキ 「オマーンオープン」優勝
- 2020年6月:ダスティン・ジョンソン 「トラベラーズ選手権」優勝
- 2020年7月:コリン・モリカワ 「ワークデイ・チャリティオープン」優勝
:ジョン・ラーム 「ザ・メモリアルトーナメント」優勝 - 2020年8月:コリン・モリカワ 「全米プロゴルフ選手権」優勝
:ダスティン・ジョンソン 「ザ・ノーザントラスト」優勝
:ジョン・ラーム 「BMW 選手権」優勝 - 2020年9月:ダスティン・ジョンソン 「ツアー選手権」優勝
:永峰咲希 「日本女子プロゴルフ選手権コニカミノルタ杯」優勝 - 2020年11月:ダスティン・ジョンソン 「マスターズ」優勝
メジャー大会である「全米プロゴルフ選手権」と「マスターズ」の優勝は、SIMのドライバーの性能の確かさを表しています。錚々たる面々ぞろいです。
3.SIM MAXの特徴とは
同年2020年2月にSIM MAX(ドライバー/ウェアウェイウッド/レスキュー/アイアン)も発売開始。SIMドライバーと比べヘッドの大きさはほぼ同じですが、SIMドライバーにある重心距離を調節できる機能が搭載されていません。曲げずに飛ばせるドライバーをお探しの方はMAXを一度試打してみる価値はあります。
SIMと同じところ
①初速アップに優れたドライバー
SIMと同時発売したSIM MAXは、SIMと同様のイナーシャジェネレーターを搭載し、高慣性モーメント、初速アップに優れたドライバーです。
②打感・打音がいい
SIMとSIMMAXシリーズは打感がいいです。そもそもプロは打感が悪いものを使ったりしませんが、試打の時に打感に注目したことがなかったという方は是非このシリーズをきっかけに打感に注目してみてください。
③Vスチールソール搭載
フェアウェイウッドとレスキューにはVスチールソールが搭載されています。
↑プロの打音を是非聞いてみてください!
SIMと違うところ
①SIM MAXの方がフェース面積が広い
SIM MAXでは、SIMよりもフェース面積が広く、スチールウエイトを重くしたことにより、高弾道で寛容性も高くなり、アベレージゴルファーにも扱いやすくなっています。フェースが広いとボールをつかまえやすい安心感があり、SIMよりもやさしさがあるSIM MAXの人気は高いです。
②距離調節機能がSIM MAXドライバーには搭載されていない
SIMドライバーにある重心距離を調節できる機能がSIM MAXには搭載されていません。
4.SIM MAX・OS(アイアン)の特徴とは
SIM MAX・OSのアイアンは、SIM MAXアイアンよりも軽くより大きいのが特徴です。
基本のスペックはSIM MAXアイアンですがワイドなソールが低重心化していることで、高弾道で低スピン。「遠くへ飛ばしたい」方におすすめのアイアンとなっています。
5.SIM MAX・Dの特徴(限定店販売)
SIM MAX・D(ドライバー/フェアウェイウッド)は、SIMの発売から遅れて、2020年5月にセレクトフィットショップ限定での発売となりました。
SIM MAXと同じところ
基本はSIM MAXと同じでそれにプラスα次項の性能が追加されたと考えるといいです。
SIM MAXと違うところ
①フェース面積が広い
SIM MAXよりもフェース面積は広く、スィートエリアも広いのでミスが少なく高弾道のボールを打つことができます。
②ヒール部分の設計が違う
ドローバイアス設計は、ヒール部分にドローバイアスウエイトを配置することで、ダウンスイングで開き気味になってしまうフェースをインパクト時に閉じて、しっかりとボールを打つことができ、スライスを抑制する働きがあります。
ミスしにくくなり、真っ直ぐ高く飛びやすい、もっと早く販売して欲しかったと思えるほどやさしいドライバーです。
6.SIM MAX・ウィメンズの特徴
SIM MAX・ウィメンズ(ドライバー/ウェアウェイウッド/レスキュー/アイアン)
SIMシリーズでは女性ゴルファー向けの本格仕様、SIM MAX ウィメンズが登場しました。SIM MAXと同様のデザイン、機能でありながら、ロフト角は12°にした高弾道のボールを打てるようにしています。
ロフトスリーブもあるので自分好みに調整できるのもうれしいですね。いろいろと試してみたくなります。
7.SIM2の特徴
2021年2月SIM2(ドライバー/フェアウェイウッド/レスキュー)が発売されました。
1番の特徴は、新素材フォーシドミルドアルミニウムリングはSIM2、SIM2 MAX、SIM2 MAX D、SIM2 MAX D ウィメンズに採用されている点です。要は軽くなった!!
SIMと違うところ
①SIM2は新素材で軽くなった
新素材フォーシドミルドアルミニウムリングとは、チタン素材より軽いアルミニウム素材を使っています。軽量化された余剰重量をヘビーバックウエイトに使用し高慣性モーメントを実現しました。
②スライディングウエイトがなくなった
SM2ではスライディングウエイトは無くなりましたが、かわりにヘビーバックウエイトとフェースの後方に配置した「スプリットマスウエイト」が弾道をアシストしてくれます。
SIM2は、他のSIM2シリーズより軽い16gのヘビーバックウエイトを使用しています。ヘッドスピードが速い人は、ボールが上がり過ぎると飛距離が伸びないので、適切な重さといえるでしょう。
SIM2使用ツアー戦績
SIMに続いてSIM2もツアー優勝をアシストしています。
- 2021年2月:ダスティン・ジョンソン 「サウジ・インターナショナル」優勝
- 2021年3月:コリン・モリカワ 「WGC-ワークデイ選手権」優勝
- 2021年5月:ローリー・マキロイ 「ウェルズ・ファーゴ選手権」優勝
- 2021年7月:コリン・モリカワ 「全英オープン」優勝
- 2021年10月:ローリー・マキロイ 「ザ・CJ カップ@サミット」優勝
2019年アマからプロに転向したコリン・モリカワは全英オープンも優勝し、この急成長にはSIM2が大きく寄与していることがわかりますね。
SIM2シリーズは、飛距離は伸び、ミスに強い寛容性があり、ボールの初速もアップし、高い弾道でボールは飛んでいくと、いいとこ尽くしの最強ドライバーに仕上がりました。
トッププロにも多く使われるSIMは操作性がある上級者向きであるため、アベレージゴルファーも使いやすいクラブにしたのが、SIM MAXです。
8.SIM2 MAXの特徴
SIM2 MAX(ドライバー/フェアウェイウッド/レスキュー/アイアン)新素材なのでSIMより軽くSIM2とは同じ素材です。
SIM2と違うところ
SIM2よりもフェース面積は広く、ヘビーバックウエイトは重くして、寛容性はさらに高くなり安心感が増しています。
飛距離も寛容性も高いSIMとSIM MAXですが、一般ゴルファーでは右に曲がることも多いということから、アメリカで先行販売されていたSIM MAX Dが日本仕様で販売されることになりました。
9.SIM2 MAX Dの特徴
SIM2 MAX・D(ドライバー/フェアウェイウッド/アイアン)は、限定ショップ販売でなく、他のSIMシリーズのように購入できます。基本はSIM MAXと同様の機能で、違いはフェース面積が広く、寛容性が高くなりました。
- 真っ直ぐなボールが打ちたい人
- スライスに悩んでいる人
ドロー仕様のSIM2 MAX Dがおすすめです。
10.SIM2 MAX Dウィメンズの特徴
画像出典:公式サイト
SIM2 MAX Dウィメンズは、SIM2 MAX Dと同様の機能を持ち、SIM MAX ウィメンズの時にはなかったドローバイアス設計も加わりつかまりやすさもアップし、女性ゴルファーにはさらに扱いやすいクラブとなりました。バックウエイトがメンズと一緒の22gで重さを感じますが、しっかり飛ばせる心地良さを体感できます。
SIMシリーズのウィメンズタイプは、他と変わらない機能も多く、もっと上を目指すアスリート志向の女性ゴルファーには頼もしいドライバーです。
11. SIMシリーズの評価と反響
SIMシリーズは、発売後すぐに多くのゴルファーから高評価を受けています。特に、プロゴルファーたちからはその飛距離と安定性に感嘆の声が上がっています。
トッププロゴルファーの評価
SIMシリーズは、多くのツアープロに採用され、彼らの競技でもその実力を証明しています。飛距離と操作性のバランスが絶妙で、特に強風や難しいコースでも安定したパフォーマンスを発揮できる点が評価されています。
一般ゴルファーからの反応
一般ゴルファーの間でも、SIMシリーズはその精度の高さと飛距離の伸びに好評です。特に、弾道やスピンを調整する機能が多くのゴルファーにとって便利であり、自分のプレースタイルに合わせてカスタマイズできる点が魅力的だという意見が多く見られます。
まとめ
SIMシリーズは、Mシリーズを確実に超えたといえる進化を遂げています。特に、飛距離性能や直進性、そして調整機能の精度において、Mシリーズの強みをしっかりと引き継ぎながら、さらに一歩先を行く性能を発揮しています。結果として、テーラーメイドのSIMシリーズは、Mシリーズの成功を超え、今後のゴルフクラブ市場における新たなスタンダードを築く可能性を秘めています。
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