なぜグリーン周りから寄せきれないのか

Around the golf green

ルール・マナー

グリーン周りのアプローチが上手くいくとそれだけでスコアは大きく向上します。なぜならスコアの割合の中でアプローチが占めるのは6~7割といわれているからです。

さらに細かく言えばグリーン周りのアプローチはその中でも半分程度、全体で3割以上を占めています。

つまりグリーン周りのアプローチで安定して寄せることができれば全体のスコアもかなり安定してでしょう。グリーン周りからという短い距離にもかかわらずなぜ寄せきれないのか、その理由は何なのかを詳しく解説していきます。

この記事を読めばグリーン周りのアプローチが苦手な方でもその理由が明確になり、克服のための一歩になります。グリーン周りからのアプローチを克服してスコアアップに役立てていただけたら嬉しいです。

1.グリーン周りから寄せきれない理由

グリーン周りからのアプローチを難しくしている理由は大きく分けて3つに分類できます。

  1. 知識/情報面
  2. 技術面
  3. メンタル面

アプローチは短い距離のショットなので簡単に思いがちですが実は緻密で多くの情報と高い技術が要求されるショットなのです。この要因を知っているか、知らないかでは上達スピードやリカバリー能力に大きな差が生まれてきます。

内容は基本的な事ばかりなので経験者の方には常識の内容でも、案外疎かになっている場合もあるので復習もかねて見ていきましょう。

知識/情報面

グリーンの傾斜とピンの位置を把握していない

ピンの位置は基本的に毎日変わります。さらにグリーンは平らではなく複雑な傾斜があります。傾斜を考慮しつつピンの位置によって攻め方が異なるので、まずはピンの位置の把握が必要になってきます。
グリーン周りからのアプローチでは傾斜を生かして転がすことが重要です。

そのため傾斜をある程度把握してカップまで逆算して打つ場所を決めることが重要です。

グリーンまたはピンを狙いすぎている

距離のある段階で無理にグリーンを捉えようとしてもミスした時のリスクが高くなってしまい、下手をするとトラップに引っかかってしまう恐れがあります。

ライなどの条件が悪いところからグリーンを狙ってもそもそもの難易度の高いショットになるのでカップに寄せることはプロでも非常に難しいことです。そのためグリーン周りから正確なアプローチをする為に、その前段階として無理にグリーンを狙うのではなくあえて条件のいいポジションに打つことで結果的にアプローチの精度を上げることができます。

技術面

力が入りスイングが安定しない

寄せようと思えば思うほど力みが生じやすくなります。しかしアプローチに限らずですが、力が入ってしまうことでしなやかさがなくなりスイングそのものが乱れてしまいダフりやトップのようなミスショットの原因になってしまいます。特にグリップや膝の力を抜くことでスイングがスムーズになり打球が安定するので精度のアプローチが可能となります。

距離の調整をスイングスピードやインパクトで行う

余程意識して練習していない限り感覚に頼ることは危険です。

その日によって感覚は微妙に異なり上手くいった時と同じように打っているつもりでも、実は違っていてそれを修正しようとどんどん違う方向に向いてしまい悪い結果をより加速させることになってしまいます。

そのため感覚に頼るのではなく、常に一定にできる振り幅毎で距離を使い分けることで毎回同じ距離感を保つことが出来ます。そのためラウンド前の練習では振り幅ごとの距離を確かめてスイングスピードを調節していくと良いでしょう。

腕だけで振ろうとしない

短い距離なのでつい小手先でなんとかしようとしがちです。しかし腕は器用に動いてしまう分、手首などで調整できてしまいます。しかしそれを行ってしまうとスイング軌道が本来の起動と外れてしまい思わぬ方向に打ちだしてしまう可能性が高くなります。さらに手打ちになる分、距離感が変わってしまい本来であれば寄せれた場面で寄せきれないことが起きてしまいます。アプローチを安定させるには基本として手首は固定し、肩や腰もしっかり回し、距離に関係なく体全体を使ってスイングをすることが大切です。

メンタル面

都合の良い考えは捨てる

ゴルフは基本的に大小含めて必ずミスをするスポーツです。そのため前提条件として理想的な展開になればラッキー、そんなことはほぼ無いと考えておきましょう。

その上でただ漠然とミスをするのではなく、ミスの起こり得る範囲を限定してあげることが重要です。
範囲を限定してあげることでそこの対処方法さえしっかりしておけば良くなるり、非常にプレーが楽になります。そうすることで変なプレッシャー無くしてしまえば本来の活躍が出来るようになります。

正確に打とうとし過ぎない

上の内容と被ってしまう部分もあるのですがそもそもミスをするスポーツなのであまり正確に狙いすぎるとそれが力みに繋がってしまいます。

たとえ短いアプローチであってもピンポイントで狙うことは難しいので、大体この辺り○yd以内に打とうとかある程度大雑把に考えておく方が返って気楽に打てるようになり良い結果に繋がってきます。

2.正確なアプローチするためのチェック項目

正確なアプローチをするためにはまずは毎回同じスイングである必要があります。修正する内容が異なるので上達を阻害してしまいます。

そこで毎回同じスイング、つまり再現性の高いスイングをする為に必要なチェックポイントをアドレス編とスイング編に分けて紹介していきます。この内容を意識してスイングすることで再現性の高いスイングが身に付いていきます。

アドレス編

スタンス

アプローチのスタンスは通常よりも狭いスタンスをとります。両足を拳1つ分程度空けてスクエアより若干オープン気味に構えるのが一般的です。アプローチの種類によっては思いっきりオープンにしたり、普通にスクエアにしたり変化するのでアプローチの種類ごとのスタンスを把握しておくことが重要です。

グリップ

通常より指2~3本分程度短く持ちます。この時に力は入れず落ちないように支えている程度で大丈夫です。短く持っても腕やグリップエンド、腰との距離感は通常のスイングと同じ位を保ってください。短く握った分だけ距離が変わってしまうとスイングが窮屈になったり、逆に手だけを使ったスイングになってしまいます。

手の位置

通常より若干ハンドファースト気味に構えます。この時に極端にハンドファーストにしすぎるとダウンブローが強めになってしまいアプローチにはあまり向かないスイング軌道を描くので気をつけましょう。

重心

重心は通常より左足側に寄せておきましょう。こうすることで体重移動行わないようにします。体重移動が無いことでスイング軌道が安定してアプローチの正確さが増します。

ボールの位置

基本的には右足のつま先前辺りに設置します。右足側にすることで弾道を低く抑えることができます。
この位置に置く理由は浮かせる系のアプローチは難易度が高いので基本的には転がす系のアプローチがメインとなるためです。

障害物等でどうしても浮かせる必要がある場合は左足寄りにボールを設置することで弾道が上げやすくなります。

スイング編

体をしっかり回す

グリーン周りのアプローチでは距離が短くなる分、腕だけで打とうとしてしまいがちです。しかし腕だけで打とうとするといわゆる手打ちになってしまい本来のスイングではなくなり、ダフりやトップの原因になってしまいます。正確なスイングが正確のアプローチにつながります。そのため意識的に腰や肩を回していき体全体を使ったスイングを心がけましょう。

頭を残す

打球の行方が気になってしまい頭が打った方向を向いてしまうことが多くあります。頭が上がり顔が打球方向を向くと同時に体が開いてしまいます。

完全に打ち終わったあとで向くのは問題ないのですが、向く癖がついてしまうとスイングの途中の段階で顔が上がってしまい体も開らいてしまいます。体が開くということは肩や腰も開いた状態なのでスイング軌道がズレてしまいミスショットの原因となります。

防ぐ対策として打ち終わった後も意識してボールのあった位置を2~3秒程度見続けてから打球を見るように意識しておけば頭が上がることなく体の開きも抑えることが出来ます。これはアプローチに限らず全てのクラブで同じことが言えます。

振り幅は左右対象に

インパクトの力感で距離を調整しようとする人にありがちですが、トップを大きくフォローが小さい又はその逆の弧を描く人が多くいます。

このスイングだと感覚に頼ってしまうので距離が合わせづらくなってしまいます。左右対称のスイングならスイング自体もインパクトの力感も一定になり距離が合わせやすくなります。

腕の三角形を保つ

この三角形とはアドレスの時に腕と胸の間にできる三角形の空間のことをいいます。この空間を保つには体をしっかり使ったスイングが必要になってきます。鏡や友人にチェックしてもらい三角形が崩れていないか確認してみましょう。ただし崩さないように力を入れるのはただの力みになってしまうのであくまで自然な状態を心がけましょう。

3.グリーン周りの攻め方

打球を上げずに転がす

前方に障害物がない限りは浮かすロブ系ではなく転がすランニング系又はピッチ&ラン系のアプローチがおすすめです。

打球を浮かせた方が着地後のランが少なくなるためピンポイントで落とすことができれば正確にピンを狙うことも可能です。しかし浮かした打球の距離を合わせる事は非常に難しく、そもそもロブ系の打球を打つには正確なスイングと風の影響を考慮することが必要なので難易度が高く、特に初心者ゴルファーには不向きなアプローチです。

逆に転がすアプローチは距離も合わせやすく打つ難易度も比較的に低いのでグリーン周りのアプローチではおすすめでプロもほとんどの場合こちらを選択しています。

ピン下を狙う

日本のゴルフ場にある一般的なグリーンは受けグリーン(ティーグラウンドから見て手前が低く、奥が高いグリーン)になっていることが多く、ピン上を狙うと下りのパットが残ってしまうケースが多いです。
下りのグリーンはボールに勢いがつきやすいのでカップインしなかった場合には勢いの分だけ大きく外れてしまうので力加減が難しくかなり難易度の高いパットになってしまいます。

そのため基本的にはピン下を狙っていくのがセオリーとなってきます。

パターを使用する

ライが良いのであればカラーやフェアウェイからでもパターを使用するのがおすすめです。アプローチはどのショットよりもミスを減らしていけるかがスコアメイクに重要になってきます。繊細な技術が必要なアプローチですが、パターであれば打ち出す方向と距離感さえ間違えなければ大きなミスになりにくい上、細かい技術は基本的に要りません。

そのためトッププロでもグリーン周りのアプローチでパターを使用する場面が多く見られます。

無理にグリーン又はピンを狙いすぎない

これはグリーン周りから寄せるための準備で1-1でも書いたことですがグリーン周りのアプローチを成功させるためにはそもそもアプローチしやすい状況を作ることが大切です。

そのため、距離がある段階でグリーンを狙って成功すればいいのですが、失敗した場合にリカバリーのことまで計算して打つことが重要です。

欲張って無理に近づけるより遠回りでも確実に安全に寄せていく方が結果的に最短だったりトータルして安定した立ち回りになります。そのためグリーン周りの状況を観察しておいてあえてグリーンを狙わないことで確実にアプローチで寄せきるという選択肢があることを覚えておきましょう。

4.おすすめ練習方法

ここではアプローチのおすすめの練習方法を2つ紹介します。

雑誌などにはより具体的で高度な情報が載っていますが、あくまで基礎ができているのが前提にあります。そのためここではまず基礎的な技術を身に付けることに重点を置きました。基礎がある程度できるだけでもアプローチの精度は大きく向上しスコアアップに貢献してくれる武器になります。

振り幅ごとの距離を覚える

アプローチで大切な事の1つに距離を合わせる事が挙げられます。

そのためハーフスイングや膝~膝といった振り幅毎の距離をある程度把握しておく必要があります。そしてそれをウェッジだけでなく様々なクラブで確認しておくのがおすすめです。なぜなら、クラブによってロフト角が異なるので同じ振り幅でも距離や弾道が微妙に違います。それらを把握しておけば様々なシチュエーションに出くわしてもクラブの数だけ攻めのバリエーションが増えてくれます。なのでまずは遊び感覚で様々なクラブを試してみると良いでしょう。

左手1本スイング

やり方はまず普通にアプローチのアドレスを取り、次にそこから右手だけを外します。この状態でスイングを行います。

この時、振り幅は小さくても問題ありません。これできちんと打てるのあれば正しいスイングが出来ていることになります。しかし、インパクトや打ちだし方向が安定しない場合は手首の角度が変わっていたり、手打ちになってしまっている可能性があります。

アプローチでは手首の角度を変えずに体全体でスイングすることが大切です。アプローチの右手はあくまで支えている程度なので左手1本でスイングが出来ていることはスイングの基礎としてとても重要です。手打ちにならないことはアプローチに限らず全てのクラブで大切なことなのでしっかり身につけておくと良いでしょう。つまりはこの練習をきちんと行うことでアプローチだけでなく全体のスキルアップにも繋がってくるということになります。

まとめ

ここまでグリーン周りからのアプローチについて解説してきました。 短い距離ながらもとても繊細で必要な知識は深く、かつ高い技術が要求されるのがグリーン周りのアプローチです。

きちんと寄せきるための正確なアプローチの技術は一朝一夕で身に付くものではないのですが、知識の有無、意識をしているのかしていないのかで、1週間後、1ヵ月後の結果が大きく変わってきます。グリーン周りが安定してくればドライバーで多少強引にでも豪快に攻めていくなんてことも可能になります。

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