20年度と21年度が統合されて長丁場となっている日本女子ツアーも大詰めを迎えて、賞金女王もし烈な争いになっています。その行方にも大きな影響を与える、高額賞金の「TOTOジャパンクラシック」が先日開催されました。コロナの影響を受け昨年に続き、日本ツアー所属プロだけの大会となったのは残念ですが、最終日は賞金女王を争う二人の一騎打ちとなったトーナメントの結果をお知らせします。
1.TOTOジャパンクラシックの概要
日本で行われる唯一のアメリカLPGAの公式戦で1973年に始まった「LPGAジャパンクラシック」が前身。2015年からはTOTOと毎日放送、スポーツニッポン新聞社の主催で行われるようになりました。日本ツアーだけでなく全米女子ツアーの後半戦の賞金女王を左右する大会として注目を集めています。
USLPGAの公式戦なので本来の出場資格はUSLPGA 43名、JLPGA 35名の78名です。
本年度より4日間競技となり賞金総額2億2,000万円、優勝賞金も3,300万円とアップしましたが、昨年度と本年度はコロナ禍の影響を受けJLPGAの単独開催となりました。昨年出場した畑岡奈紗も不出場となり、今年はただ一人凱旋したメジャーチャンピオン笹生優花以外、USLPGAからの参戦者はなく、日本ツアーの獲得賞金上位者78名(予選落ちなし)の出場となりました。
2001年から2005年までアニカ・ソレンスタムが5連覇という偉業を達成しています。
2.会場
今年の「TOTOジャパンクラシック」の会場となったのは2年ぶりに滋賀県の瀬田ゴルフコースでした。
瀬田ゴルフコース
公式サイト
北コース 6,616ヤード 18ホール PAR72
所在地:滋賀県大津市瀬田橋本町12
設計:井上誠一
開場:1967年
瀬田ゴルフコースは、東、西、北、それぞれ18ホール、合計54ホールの大型ゴルフコースですが、TOTOジャパンクラシックは名匠・井上誠一氏設計でその他にも多くのトーナメントを開催してきた北コースが使われます。今回で13回目の本大会開催となりました。琵琶湖や比叡山を望む丘陵コースで、広々とした中にも、池やバンカーが随所に散りばめられた高い戦略性のゴルフコースです。
3.トーナメント結果
今年も残念ながら無観客の大会となりましたが、最後まで賞金女王を争う二人の白熱した戦いが見られました。
初日はこれも賞金女王争いに加わる小祝さくらが65で飛び出し、2日目も首位をキープ。
2日目を終わって1打差で古江彩佳、4打差で稲見萌寧がつけるファンには面白い展開となりました。
3日目には古江が68、稲見が67とスコアを伸ばし、首位古江、2打差の2位に稲見、そしてベテランの上田桃子が稲見と並んで2位タイ、初優勝を狙う西郷真央が3打差の単独4位となり、73とスコアを伸ばせなかった小祝が4打差の単独5位でつける展開に。そして最終日は上田、西郷、小祝が伸び悩む中、古江と稲見の一騎打ちの展開となりましたが9番でボギーをたたいた稲見に対して、3バーディーノーボギーでまとめた古江が3打差で稲見を振り切り、ツアー通算7勝目を挙げた。
4.メダル獲得の面々
それでは見事メダルを獲得した選手をご紹介します。
優勝|古江彩佳選手
16アンダー
年齢:2000年5月27日生まれ 21歳
身長・体重:153cm、54kg
プロ転向:2019年
世界ランキング:14位(2021年11月9日時点)
兵庫県神戸市出身で3歳からゴルフを始める。ナショナルチームでも活躍し滝川第二高校では安田祐香と3年間クラスメイトだった。アマチュア時代はその安田に隠れた存在ではあったが、2019年の「富士通レディース」でアマチュアとして史上7人目で優勝しプロ入り。その後も安定したプレーで勝利を重ね11月9日現在賞金ランク2位に位置し、逆転の賞金女王を狙う。本大会「TOTOジャパンクラシック」優勝でツアー通算7勝目。今年10月11月のわずか2カ月で3勝という絶好調状態で現在賞金女王争いトップの稲見に急激に肉薄してきた。
単独2位|稲見萌寧選手
13アンダー
年齢:1999年7月29日生まれ 22歳
身長・体重:166cm、58kg
プロ転向:2018年
世界ランキング:18位
東京都豊島区生まれで9歳からゴルフを始めたが、その後ゴルフ環境のいい千葉県に家族で引っ越した。古江と同じくナショナルチームにも選ばれ、2015年「中京テレビ・ブリヂストン女子オープン」で10位に入りベストアマに輝く。18年のJLPGAプロテストは20位でギリギリ合格。しかしその後の活躍は目覚ましく2019年7月の「センチュリー21レディス」でプロ初優勝すると、20年「スタンレーレディス」を勝ち、21年は前半戦だけで5勝、記憶に新しい8月の東京オリンピックでは惜しくもプレーオフで敗れたが、ゴルフ競技日本人初のメダル、銀メダルを獲得。9月には「日本女子プロゴルフ選手権」で初のメジャー制覇も果たし、ツアー9勝目。11月9日現在賞金ランクトップを走っている。
単独3位|西郷真央選手
9アンダー
年齢:2001年10月8日生まれ 20歳
身長・体重:158cm、57kg
プロ転向:2019年
世界ランキング:43位(2021年11月9日時点)
千葉県出身で5歳からゴルフを始める。高校3年生で「日本女子アマチュア選手権」優勝。2019年プロテスト合格する前から尾崎将司プロが主宰する「ジャンボ尾崎ゴルフアカデミー」に一期生として入会し練習に励んでいた。20年からのプロ本格参戦でルーキーイヤーから頭角を現し、21年度はトップ10フィニッシュが16回もあり、そのうち2位が6回と、優勝まであと一歩のところ。未勝利ながら賞金ランク5位(11月9日現在)に位置しており、1日も早いツアー初勝利が待たれる女子プロの一人。
まとめ
今年も昨年に続き、日本単独開催で無観客のトーナメントとなってしまいましたが、来年こそ、コロナが収まって海外から多くの女子プロが来日し、日本の黄金世代やプラチナ世代、さらにベテラン勢との対決が見たいですね。今回ツアー7勝目を挙げた古江彩佳プロは宮里藍さんに続く、史上2番目の早さで7勝目です。年末には全米女子ツアーのQTに挑戦する意向の古江プロから来年も目を離せません。
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