ピッチマークを直せていない人は、グリーンを壊し続けている!
ゴルフを始めたころ、グリーンのくぼみを見て「なんとなく戻せばいいんでしょ」と思っていました。30代の僕がそれを恥じたのは、同伴者のキャディさんに「そのやり方だと芝の根が切れてしまうんですよ」と静かに指摘されたラウンドの帰り道でした。
正しく直せば24時間以内に回復するピッチマーク。誤った方法で直すと、回復に数週間かかり、場合によっては永久にへこんだままになります。つまり、ピッチマークの修復は「マナー」である前に、グリーンというコースの命を守る「技術」なのです。
この記事では、原因から正しい手順・NGケース・おすすめアイテムまで一気に解説します。
1.そもそもピッチマークとはどういう状態なのか
How to repair a pitch mark. #golf pic.twitter.com/LiOYXnV12N
— Connect Golf (@connectgolf) April 15, 2015
グリーンに関わるルールやマナーを正しく理解するには、まず「何が起きているか」を知る必要があります。
ピッチマークが生まれるメカニズム
ボールが高い弾道でグリーンに落下すると、その衝撃で芝と土が押し下げられ、中央が沈んだ火山口のような形が残ります。これがピッチマークです。
問題は「へこみ」だけではありません。着弾の衝撃で芝の根が引きちぎられており、放置すると根が死滅して枯れ跡になります。夏場の乾燥したグリーンなら、2〜3時間でも変色が始まります。
自分のボールのマークだけ直せばいいという誤解
よくある勘違いが「自分が作ったピッチマークだけ直せばいい」という発想です。ゴルフのエチケットとしては、自分のマーク+もう1〜2か所を直すのが海外では当たり前のスタンダードです。接待ゴルフで同席した外資系のクライアントに「Nice repair」と言われたとき、初めてその文化の重さを実感しました。
2.ピッチマークの正しいなおし方【5ステップ】

手順を知っていても、ついおろそかになるのが現場です。実際のグリーン上でも迷わないよう、動作レベルで整理します。
ステップ別の修復手順
Step 1|グリーンフォークをマークの縁に刺す 中心ではなく、へこみのふち(4〜6か所)に斜め45度で刺します。中心に刺すと根をさらに傷つけます。
Step 2|土を「持ち上げる」のではなく「寄せる」 ここが最重要ポイントです。フォークを外側から中心方向へ倒すように動かし、土を中央に集めます。「すくい上げる」動作は厳禁。芝の根が引きちぎれます。
Step 3|全周から均等に寄せる 一か所だけ動かすとムラができます。時計回りに4〜6か所を均等に処理します。
Step 4|中央が少し盛り上がったらOK 完全に平らにしようとしなくて構いません。盛り上がりはパターのソールで自然に押さえられます。
Step 5|パターのソール(底面)でそっと叩いて均す 強くたたく必要はなく、ソールの重さで軽く押さえる程度です。
やりがちなNG修復3パターン
コースでよく見かける、でも実はグリーンを痛める行為を整理します。
NG①:中心に刺してすくい上げる 最も多いミス。へこみの底に刺して「戻そう」とする動作は、根を完全に断ち切ります。
NG②:靴の先でぐりぐり踏む 芝の繊維ごと圧縮してしまい、排水性が失われます。コンペの前日に他の組がやっていたのを目撃して、思わず声が出そうになりました。
NG③:直したつもりで中央が凸凹のまま放置 修復したという事実が大事なのではなく、芝が回復できる環境を整えることが目的です。
3.グリーンフォーク(ディボットツール)の選び方と現場で使えるおすすめアイテム

道具は正直、何でもいい時期がありました。コンビニで買った100円のものをずっと使っていましたが、使いにくくてグリーンでもたつき、同伴者を待たせてしまったことがあります。道具にこだわるのはプロだけじゃない、とそのとき学びました。
グリーンフォーク選びの3つの基準
機能・携帯性・耐久性のバランスで選ぶのが現実的です。デザインで選んで使い勝手が悪いものは、結局ポケットから出さなくなります。
① ピッチャーフォーク スタンダードタイプ(Callaway) ステンレス製で刺さりやすく、力が均等に分散される設計。グリーンの硬さに関わらず安定した修復ができます。
② ツールズ・レディ グリーンフォーク(Divot Tool Pro) マグネット付きボールマーカーが内蔵されており、マーカーを別に持つ必要がなくなります。接待ゴルフで「そのグリーンフォーク便利そうですね」と言われた数少ないアイテムです。
③ PING グリーンフォーク(PING) 重量バランスが絶妙で、刺す・倒す動作がスムーズ。初心者よりも、正しい直し方を覚えた後の「精度を上げる段階」で真価を発揮します。
4.「ピッチマーク修復が遅い人」の正体

接待ゴルフや仲間とのラウンドで、グリーンでもたついてしまうのは、単に「手順を知らない」ではなく「身体に染み込んでいない」ことが原因です。
頭では正しい手順を知っているのに、グリーンに上がると焦りで動作が雑になる。これは練習していないから起きることです。
自宅でできるピッチマーク修復の練習
庭や室内の練習用グリーンマットに、木製のスプーンなどで軽くへこみをつくり、グリーンフォークの動作練習をするのは効果的です。実際のターフとは感触が違いますが、「中心に刺さない」「外から内へ寄せる」という神経回路を作るには十分です。
コースで使えるおすすめの室内練習マット: PGA TOUR 公式ゴルフパターマット(PERFECT PRACTICE) グリーンに近い芝の密度で、フォークの刺さり感も再現できます。
5.ラウンド中、同伴者への声かけをどうするか

接待や初対面の人とのラウンドで「ピッチマーク直しましょうか」と声をかけるのは、正しいエチケットか過剰なお節介か、迷った経験があります。
結論として、自分のマークは黙って直す。相手のマークは「よかったら直しますよ」と一言添える。それだけで印象は大きく変わります。直し方を知らない人に手順を教えるのは、プレーの流れを止めるリスクがあるため、ラウンド後の食事などで自然に話すのがベターです。
6.Q&A:ピッチマークについてよくある疑問
Q. ピッチマークを直すのはルール上の義務ですか? ゴルフ規則2023年版では、プレーヤーは自分のボールのピッチマークと、他のプレーヤーのピッチマークも修復できると明記されています(規則13.1c(2))。義務というより「権利として認められた行為」です。ただし、エチケットとして直さないことはスコアと同じくらい重く見られる場合があります。
Q. 他の組が作ったピッチマークを直してもいいですか? はい。自分のボールのマーカーがある場所以外であれば、誰が作ったものでも直せます。
Q. 砲台グリーンで球が勢いよく刺さった場合の修復は? 通常より深く刺さっているため、周囲6か所以上からていねいに寄せる必要があります。中央の土が完全に戻るまで修復を続けてください。
Q. グリーンフォークを忘れた場合は? ティーペグ(ティー)を代用できます。ただし金属製でないものは強度不足で曲がるため、木製ティーを複数本使う方法が現実的です。
最後に:グリーンを直す人が、ゴルフを楽しめる人
ピッチマークを正しく直せるようになってから、グリーンに乗ったときの気持ちが変わりました。「自分の跡をちゃんと消せた」という静かな達成感は、バーディーとは別の種類の満足感があります。
接待でも家族旅行を兼ねたゴルフでも、一緒にラウンドする人が気持ちよくプレーできる環境を守れる人は、スコアに関係なく「一緒に回りたい人」になれます。
道具を一本変えるだけでいい。手順を一度正確に覚えるだけでいい。それだけで、グリーンでの立ち居振る舞いが変わります。





コメント