パターにはルールで禁止されている、違反となる打ち方があります。そしてこのルールも定期的に変更されていて現行ではどれがダメでいいのか分からない人もいると思います。普段仲間内だけでエンジョイゴルフを楽しんでいる層はもちろん、競技ゴルファーでもすべてルールを把握していると自信を持って言える人は少なくありません。
今回はゴルフを始めたばかりの初心者の方々はもちろん、ベテランゴルファーの方にも再認識も含めて違反になってしまうパターの打ち方の違反についてまとめます。ルールを守ってゴルフを楽しみましょう。
目次
1.パターの打ち方違反は2016年および2019年に大きな変更
パターの打ち方については2016年に今まで許可されていた打ち方が禁止になる、という衝撃的ルール変更がありました。
- 2016年のゴルフのパターの打ち方のルール変更には、以下のような内容が含まれています。
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アドレス時にパターフェースを地面に触れさせることができるようになった 以前は、パターをアドレスする際には、フェースを地面に触れさせてはいけなかった。しかし、新しいルールでは、アドレス時にフェースを地面に触れさせることが許可されるようになった。
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パターフェースの使用が制限された 以前は、パターのフェースに装飾的な模様や凹凸が入っていても問題なかったが、新しいルールでは、フェースに使用できる模様や凹凸が制限された。フェースには、直線的な線だけが許可されるようになった。
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バックスイング時の移動が制限された 以前は、パターのバックスイング時に肩や腕が少し動くことが許可されていたが、新しいルールでは、これが制限された。バックスイング中に肩や腕が動くことは許可されなくなった。
これらのルール変更は、ゴルフ競技の公正性や一貫性を高めることを目的として導入されました。
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事実、プロゴルファーにもこれにより勝てなくなったなど大きな影響を受けた選手が何人もいます。そしてそれまでの「スルーザグリーン」を「ジェネラルエリア」と呼び変えるなどゴルフ用語やルール全体に大きな変更があった2019年にもパターに関して大きなルール変更がありました。
2.「これはNG」なパターの打ち方
それでは違反になってしまうパターの打ち方について具体的に解説していきます。案外、「え?知らなかった」なんてことがあるかもしれません。
ここに挙げた違反はすべて2打罰(マッチプレーの場合、そのホール負け)となります。知らないでペナルティはショック大です。
①アンカリングはNG
まずは2016年に突然(個人的にはこの表現がいいかと思いました)禁止となった打ち方です。アンカリングといって、パターそのものおよびグリップエンド(握った手)を身体の一部(胸やみぞおちなど)に固定してそこを支点としてストロークすることを言うのですが、これが禁止となりました。
「アンカリング」をすることでパットの安定感、特にショートパットが安定する効果を期待されていました。この変更は一般アマチュアでは関係なかった人も多いのですが、長尺や中尺パターを使用していた人には大きなルール改正で、オーストラリアの「アダム・スコット」や国内においてもシニアプロのパタースタイルに大きな影響を及ぼしました。
なお、勘違いしている人も多いのであえて付け加えますと、長尺、中尺パター自体を使ってはいけない、ということではありませんのでご注意を。
②テイクバックなしで押し出す、掻き込む打ち方はNG
次に違反となるパターの打ち方はテイクバックをせずに、アドレスでパターにボールをつけたまま押し出したり、掻き込んだりする打ち方は違反となります。必ず少しでもテイクバックをとって打つ、行為が必要なのです。
これ実は案外知らずにやってる人がいる人がいるように思います。例を挙げると、惜しくも外れて少しだけカップをオーバしたとき、カップの向こう側からパターで掻き込んでカップインさせた、という覚えはありませんか?
正式競技ではこれはNGとなりますのでお気をつけください。
③パターヘッド以外で打つのはNG
パターヘッド以外で打つことは違反です。まずこんなことやる人いませんが、例えばパターのグリップ側をビリヤードのキューに見立ててグリップエンドでボールを打つのは違反となります。さらにカップの淵ギリギリに止まったボールをグリップエンドでチョン、とやってカップインするのも当然NGとなります。これ、たまに遊びのゴルフでやってる人見ます。
ここで一つクイズを。パターヘッドのフェースと逆側で打つことはOKでしょうか?NGでしょうか?
こたえ⇒これはOKです。パターヘッドの先っぽで打つのもOKです。要するにパターヘッドのどこかで打てばOKと理解したらいいでしょう。
④パットとカップの延長線上を踏んで打つのはNG
ボールとカップを結んだ延長線上を踏みながら打つことは違反です。普通この違反をする人はいないと思いますが、タップイン(ごく短いパット)するときなどに無意識にやってしまうことがあるかもしれませんのでご注意を。カップを通りすぎた先の延長線上を踏むこともNGです。
3.従来違反だったのが2019年のルール改正でOKとなったルール
最後に、大きなルール改正が行われた2019年にパターに関して今までNGだったことがOKとなった項目についてまとめておきます。私のようなベテランゴルファーには驚く出来事だったのです。
①パット線上のスパイク跡を修復してもOK
従来は、パット線上のボールマーク(へこみ)や古いカップの埋跡については修復可能でしたが、他人のスパイク跡を直すことは認められていませんでした。これが現在ではほとんどの損傷を修復しても無罰となりましたが、エアレーションなどグリーンの管理作業の跡などは修復できません。
②旗竿(ピンフラッグ)を挿したままカップインOK
これが一番大きな変更かもしれません。従来はカップにある旗竿に当てると違反となり2打罰となっていました。これが2019年のルール改正でOKとなりました。
現在は旗竿を挿したままのプレーが推奨されていてコロナ禍でも接触機会が減るし、プレー時間短縮にも貢献しています。それまでは全員がグリーンオンしたら旗竿を一度抜いてグリーン外(カラー部分など)へ置いて全員がカップインしたらまた旗竿を戻して、という手間がかかっていましたし、長い距離のパットの時など同伴者が旗竿を持ってボールが近づいてきたら抜く、などの動作が必要だったのでかなりグリーン上での作業が減ったことはプレーファストにはいいことだと思います。
ただテレビ中継を見ているとプロゴルファーはまだ旗竿を外してパターしている人が多いですね。長くゴルフをやっている人にはまだ違和感があるのかもしれません。
ただし、旗竿を抜くか抜かないかはどちらでもいいですが、一度旗竿を挿したままストロ-クすることを決めた後、旗竿に当たりそうだから、と勝手に旗竿を抜いた場合は違反になります。(キャディが抜いたら自分が2打罰、同伴者が気を遣って抜いたら同伴者自身が2打罰となります)
また余計なお世話ですが、グリーン面が見えないような打ち上げのグリーンの場合は、ピンを挿したままだと、ホールアウトしたと思って後続組が打ち込んでくる危険がありますのでご注意ください。
③パット線上に触れてもOK
従来はゴミや障害物を取り除くこと以外、パット線上に触れることすら違反でしたが、現在はプレーに有利な改善をしない限りパット線上に触れることはOKとなりました。
まとめ
2019年のルール改正では全体的に、プレーファスト、プレー時間の短縮を主眼として変更点が多いと思います。特に今回の記事でもあるようにグリーン上での作業が大幅に減ったことはとてもいいことだと思うのですが、私が実際プレーしていて感じるのはプレー時間がそれほど短くなっていないのが正直な印象です。現在のルールではグリーン上に限らず遠い人から順に打つ必要はなく、準備のできた人からショット、パットすることが推奨されていますので、ゴルファーの皆さんは今まで以上にプレーファストを心がけてほしいと思います。
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