6月15日木曜日から6月18日日曜日に開催された全米オープンゴルフ2023。今年で123回を迎えました。伝統のメジャー全米オープンゴルフ4日間の激闘をお伝えします。
開催地は知られざる超名門と言われるザ・ロサンゼルスカントリークラブ。高層ビルが見える都市コースで初めての開催会場となっており会場を見るのも楽しみの一つでした。
名だたるトッププロが苦戦し、特に最終日は消耗戦の様相を呈し最後までだれが勝つか分からない熱戦でしたね!興奮がまだ冷めませんがトーナメントのハイライトとしてまとめましたのでぜひご覧ください。
試合結果のネタバレになりますのでまだ試合を観戦していない方は読まない様気をつけてください。
目次
1.ついに全米オープン開幕!
1895年に創設され、今年で123回目を迎えました。1895年といえば日本は明治28年。まだ着物を着て生活をする人がほとんどでした。その頃アメリカではゴルフトーナメントが開催されていたんですね。歴史ある大会だからこそアメリカ人にとってとても大切で名誉ある大会です。
4大メジャーのひとつ
なぜ全米オープンがこんなに盛り上がるのかというと、全米ゴルフ協会(USGA)主催のトーナメントで4大メジャーのひとつだからです。
毎年6月に開催され父の日が最終日
毎年6月に開催され最終日が父の日が基準となっていて毎年開催コースが変わります。
アメリカ国内はもちろん、欧州や日本でも予選会が行われ、毎年数人の日本人プロが参加している。ハンデ1.4未満のアマチュアも予選に参加でき突破するとアマチュアでも本選参加できるオープン競技です。
セッティングが厳しいことで有名
厳しいセッテイングで有名で優勝スコアもロースコアになることが多く、トッププロにとって試練の大会でもあります。予選2日目で60位タイかつトップから10打差以内で決勝進出できることになっています。
(ちなみに今回は2オーバー、49位タイまでの65名が決勝進出)
主な予選免除資格者
〇過去10年間の全米オープン優勝者
〇過去5年間のマスターズ、全米プロ、全英プロの優勝者
〇前年の全米アマ優勝者と2位、全米ミッドアマ、全米ジュニアアマの優勝者
〇前年の全英アマ優勝者
〇大会3週間前の世界ランキング60位まで、および開催週における60位まで
基準が厳しいからこそ免除資格は大きなアドバンテージですよね。
2.会場|「隠れた宝石」と呼ばれるザ・ロサンゼルスカントリークラブ
今回全米オープンゴルフが開催されたのは、ロサンゼルスにあるザ・ロサンゼルスカントリークラブでした。
ザ・ロサンゼルスカントリークラブ ノースコース
(OUT 35(Par3が3ホール) IN35(Par5が1ホールのみの変則PAR70)
所在地:アメリカ カルフォルニア州ロサンゼルス
設計:W・ハーバート・ファウラー・再設計:ジョージ・C・トーマス
ノースコース改造:ギル・ハンス
開場:1897年(1911年に現在地へ移転)
フェアウェイは思ったよりも広いものの、ホールによって谷があったりアップダウンも激しいコースに加えて、バミューダ芝やティフトン芝の深いラフ、大きく深いバンカー、硬くて速いグリーン、そして500ヤードをはるかに超えるPAR4や300Y近いPAR3など変化に富んだ難しいコースです。
隠れた宝石と呼ばれるほど超プライベートコース
「隠れた宝石」と言われるほど超超超プライベートコースで、一般の目にいっさい触れることがなかったゴルフ場です。そもそもロサンゼルスのビジネスマンを中心に1897年に創設されたプライベートコースなのが始まりです。
ハリウッドスターもお断り!門戸を開かず
ロサンゼルスのハリウッドに近い、超高級住宅地のビバリーヒルズにある36ホール(ノースコース、サウスコース)がそれだけの好立地でありながらハリウッドのスーパースターたちもメンバーに名を連ねていません。
門戸を開かず差別のあったコースということもあり今まで戦前の一時期以外プロトーナメントを開催したことがなく今回初めて全米オープンゴルフの会場となったのもかなり注目される理由です。
3.4日間激闘とトッププロもアマチュアに見える難易度
では4日間の熱闘をまとめていきます。
全体での率直な印象としては世界のトッププロが我々アマチュアではよくやる1m、1.5m以内のパットをあっけなく外すシーンが多くみられたことでした。
初日
初日終了地点でのスコアを見て正直私は驚きました。
テレビを通してだけですが、バミューダの深いラフ、まるでスコットランドのコースのブッシュのような場所もあるうえ、難しい位置のピンポジションや深いバンカーを見ていて、なぜこんなスコアが出せるのか!!びっくりの初日でした。
初日は初メジャーを目指す、リッキー・ファウラーと東京五輪金メダリストのザンダー・シャウフェレの日本にも縁のある二人がいきなり62(-8)というビッグスコアを叩き出し、首位に並びました。
おなじみのローリー・マキロイやダスティン・ジョンソンなどメジャーチャンピオンの実力者がその後を追う展開でした。
同じくメジャーチャンプの日本の松山英樹は+2の81位タイとやや出遅れ、日本から予選を突破し参戦した石川遼と桂川有人が-1で25位タイ、永野竜太郎が+1の56位タイ発進となりました。
2日目
2日目からはさすがに爆発的なスコアは出なくなり「全米オープン」らしく我慢のゴルフとなります。そんな中、ファウラーがスコアを2つ伸ばし-10で首位を守りましたが、2位につけたのが、ファウラーと一時期オクラホマ州立大で後輩であった、先月29歳でPGA初勝利を挙げたばかりの苦労人、ウィンダム・クラークが初日64、二日目も67でまとめ一打差の-9で2位につけました。
マキロイ、とシャウフェレがさらに1打差で追走。世界ランク1位のスコッティ・シェフラーやダスティン、が追いかける展開となりました。期待される松山英樹は+1で39位タイ、石川遼はなんとか踏ん張りカットラインの+2の49位タイで予選通過。桂川はイーブンの30位タイ、メジャー初出場の永野が-2、12位タイまで順位を上げ、見事日本勢4名とも決勝ラウンド進出となりました。
この難しい「全米オープン」で4名とも決勝に進んだというのはある意味快挙といっていいかもしれません。少なくとも私はそう思います。
3日目
ムービングサタデーの3日目でも上位陣は大きく変わらず、ファウラーがパープレー、クラークが1打伸ばし、-10で二人が首位に並びました。追うのが一打差のマキロイ、3打差でシャフラーとなりました。松山がチャージをかけ一気に12位タイまで上がってきたものの8打差。
日本勢では永野が粘りのゴルフを見せ6打差の-4で8位タイと来年の出場権を得られる位置まで上がってきました。
しかし桂川有人は75と崩れ50位タイ、石川遼はかみ合わず78の大たたきで最下位に落ちてしまいました。
その他有名どころでは、シャウフェレとジョンソンが6位タイ、キェメロン・スミスとブライソン・デシャンボーが9位タイ、コリン・モリカワが15位タイ、5月の全米プロを制したブルックス・ケプカが20位タイといった状況でした。
最終日
最終日は多くの選手がスコアを崩したり伸び悩む中、消耗戦の様相となりました。中でも初メジャーを目指すファウラーがフロントナインでミスが多く優勝争いから後退、優勝争いはボギーを打ちながら要所でバーディを奪取していくクラークと12年ぶりの全米制覇に燃えるマキロイに絞られました。
14番で痛恨のボギーとしたマキロイに対し、同じ14番でバーディを取ったクラークが一時期3打差をつけましたが、クラークがメジャー勝利の重圧なのか、続く15番16番連続ボギーとしてまた1打差に。しかしその後は落ち着いてパーを重ねたクラークが1打差で逃げ切り初のメジャー制覇を成し遂げました。
マキロイは14番のボギーが大きく響き惜しくも1打差の2位に終わりました。シェフラーが3位、スミスが4位と貫録を見せ、またもメジャー制覇が夢に終わったファウラーと最終日イーグル2つの63で猛チャージをかけたイングランドのトミー・フリートウッドとミンジー・リーを姉にもつ韓国系オーストラリア人のミンウ・リーが5位タイという結果でした。
日本勢は全員スコアを崩してしまい、松山が32位タイ、桂川58位、石川63位、健闘した永野でしたが最終日75と崩れて残念ながら20位タイに終わりました。
4.優勝者の素顔
それでは最後に初メジャー制覇を飾った「全米オープン2023」の優勝者をご紹介します。
優勝|ウィンダム・クラーク
アメリカ出身のウィンダムクラーク29歳が優勝しました!おめでとううう!
今までほぼ無名の存在だったが、以前はジョーダン・スピースやジャスティン・トーマスやザンダー・シャウフェレなどとともに「クラス11」として騒がれた2011年に高校を卒業した有望選手の一人だったのでとうとう脚光を浴びました!と言ってもまだ29歳若い!
優勝ウィンダム・クラーク10アンダー
国籍:アメリカ コロラド州デンバー出身
年齢:1993年12月9日生まれ 29歳
身長・体重:183cm、79kg
プロ転向:2017年
世界ランキング:13位(全米オープン終了時6月19日付)
2016年-オクラホマ州立大学からコロラド大学に途中編入
母親が乳がんで55歳の若さで亡くなったことで悲しみのどん底で精神的に辛くなり、ゴルフへの情熱も冷めていた中、環境を大きく変えるためにコロラド大学へ転入したとのこと。(テレビ中継の解説による)
2017年-PGA参戦
2019年-本格的にPGAに参戦しはじめる
大学時代から副コーチとして行動を共にし現在キャディも務めるジョン・エリス氏がメンタルコーチも務める。
2022年-プロ入り後約5年間。バミューダ選手権の2位が最高成績で予選落ちも多かったが今年に入り戦績が安定
2023年5月-ウェルズファーゴ選手権で同学年のシャウフェレを退け29歳で遅ればせながらPGAツアー初制覇
翌2023年6月-全米オープンでメジャー初制覇
優勝した瞬間をインスタグラムで見ることができますのでぜひ!感動ものです。
まとめ
大のゴルフ好きとしては今回ベールを脱いだと言われる「ザ・ロサンゼルスカントリークラブ」での初の全米オープンはテレビで見れるだけでもワクワクしました。
アップダウンが激しく、深いラフ、オーガスタにも負けないアンジュレーションの大きいグリーンなどすごい場所でゴルフやってるな、と興奮しながら見ました。
2032年には同じ場所で「全米女子オープン」も開催され、また16年後の2039年には再び全米オープンの開催が決定しているそうです。もういまから9年後、16年後が楽しみです。
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