スコットランドやイングランドのリンクスでおなじみのほぼ円形で小さくて深いバンカー。全英オープンなどをテレビで見た人は知っていると思います。日本では「たこつぼ」とも呼ばれるバンカーでアマチュアには絶対出ないだろうと思えるあのバンカーについて今回考えてみました。
目次
1.ポットバンカーとは
ポットバンカーとは、小さくて深いバンカーの総称です。
Double the golf, double the highlights 💪
Counting down the top shots from @TheOpen and @CudaChamp. pic.twitter.com/3xbYWUKHYc
— PGA TOUR (@PGATOUR) July 24, 2023
画像出典:PGA TOUR
日本のコースではあまりアゴのない平らに近い大きなバンカーもよく見ますが、本場イギリスのリンクスでは本当に「タコつぼ」のような深くて小さいバンカーばかりです。中には身長より高い壁を超えないといけないバンカーもあり、脱出が大変難しいバンカーでもあります。プロゴルファーでさえ脱出に苦労しているシーンをよく見ます。
2.ポットバンカーができたわけ
Pot bunker preparation @TheOpen ⛳️ pic.twitter.com/D3gOgNgSfn
— PGA TOUR (@PGATOUR) July 19, 2023
画像出典:@TheOpen
元々はスコットランド地方のリンクスコースでは羊飼いが家畜を放牧していたそうですが、その羊(ウサギという説もある)たちが強い風を避けるため穴を掘るんですけど、その穴が風化して海砂が入ってきたものらしいです。
それを上から見たら、紅茶のポットに見えたことから「ポットバンカー」と呼ぶようになったそうです。ただ本当の羊が作ったバンカーはどんどん風化してしまうそうで、現在のリンクスでは耐久性を高めた、芝と土の塊を重ね合わせ壁のようにしたバンカー「ソッドウォールバンカー」がほとんどです。
注:「ソッド」(芝土) 「ウォール」(壁)
芝土が何層にも重なっているので別名「ミルフューユバンカー」とも呼ばれています。全英オープンを見た方にはイメージ湧くでしょう。確かに「ミルフィーユ」のように何層にも芝土が重なって見えますね。
3.日本のコースにポットバンカーは無い!
日本でポットバンカーを体験してみたい!と思って探してみたんですが。残念ながらイギリスにあるようなレベルのものはありませんでした。日本では「タコつぼバンカー」と呼ばれることも多いポットバンカーですが、全国400か所以上のゴルフコースを周ったことがある筆者でも残念ながら“本物”のポットバンカーに出会ったことはありません。
日本では、川奈ホテルゴルフコースなどを設計したイギリス人チャールズ・アリソンの名前からアリソンバンカーと呼んでポットバンカーの代名詞のように使っていますが、私が思うにはあれも”本物“の「ポットバンカー」「ソッドウォールバンカー」ではないと思うのです。
開場当初はあったのかもしれませんし、形状的には確かに小さくて深くて難しいのですが、私は厳密に言うと今見られるものは「ポットバンカー」ではないと思います。
なぜ日本ではなかなか見られないのか。それには日本ならではの事情が関わっているようです。
日本に本物のポットバンカーが増えない理由
日本に”本物“の「ポットバンカー」が増えない理由は主に2つです。
①日本の気候ではポットバンカーを維持できない
高温多湿、雨の多い日本では、雨が降るとバンカーが水浸しになってしまい使えなくなります。
皆さんも普通のバンカーでさえ大雨が降るとウオーターハザードみたいになっているのを見たことがあるでしょう。小さくて深いバンカーならもっと大変です。常に水抜きが必要となり管理コストも膨大になるからです。要するに管理が大変ということです。
②プレーが進まないから
ゴルフの大衆化に伴い混雑の激しくなった日本のゴルフ場では、脱出が難しい「ポットバンカー」では何回打っても出せない人が多いのでプレーが進まないからです。以上、管理の大変さとコスト、さらにプレー進行を主な理由として、日本には根付かないバンカーになったということです。
4.アマチュアのポットバンカーの攻略法
日本には”本物“がほとんどないであろうポットバンカーですが、小さくて深いポットバンカーもどきはたくさんあります。ではアマチュアには脱出困難な小さくて深いバンカーに入ってしまった場合どうすればいいのか。私の個人的経験と知識で下記まとめました。
①とにかくフェースを開く
最低限高いアゴを超えないと話にならないのでとにかくフェースを目いっぱい開きます。
②とにかく強く上から打つ
距離感など余計なことを考えずにとにかく強く上から打ち込んで出ることだけを考えましょう。
③場合によってはピンとは逆方向に出す
ピン方向に縦スペースがない場合は冷静に判断して出しやすい方向へ打つべしです。
④アンプレアブルやローカルルール(新ルール)も検討する
初心者やバンカーが苦手な人は、1打罰にしてアンプレアブルを宣言することや新ルール(2打罰でバンカー外のピンとボールを結んだ後方線上1クラブレングス以内にドロップできる))を選択したほうがいいでしょう。
など難しいバンカーに入れた場合は大叩きしない方法をまず考えましょう。
5.私の記憶に残るバンカー3選
最後にポットバンカーではありませんが、私が記憶に残っている珍しい、というか思い出のバンカーを3つほどご紹介します。
①日本一あごの高いバンカーin千葉県
ゴルフ5カントリーオークビレッジ(千葉県)17番PAR3のバンカーがおすすめです。
画像出典:ゴルフ5カントリーオークビレッジ
千葉県にあるゴルフ通には有名なコースでデズモンド・ミュアヘッド設計のかなり難しいコースですが、ここの17番のグリーン左にあるバンカーは「日本一あごの高いバンカー」で有名です。グリーンとの高低差は5mぐらいあるでしょうか?トーナメントである女子プロがこのバンカーで苦戦して9の大叩きをしたのは有名な逸話です。
②北海道にある美しいバンカー
ザ・ノースカントリーゴルフクラブ(北海道) 7番PAR3がおすすめです。
北海道にあるセガサミーの会場で知られるゴルフ場ですが、ここの7番のグリーン手前のバンカーが私の行ったコースの中で一番印象的で美しいバンカーでした。北海道を形どった美しい花壇がバンカーの中にある唯一無二のバンカーだと思います。OUT7番なのでテレビ中継で見られないのが残念です。
③グリーンの真ん中にバンカーin石川県
朱鷺の台カントリークラブ(石川県) 17番PAR3がおすすめです。
画像出典:朱鷺の台カントリークラブ(石川県) 17番PAR3
昔、ミズノオープンを開催していた石川県の名門コースですが、ここの17番も珍しい記憶に残るバンカーです。なんと、グリーンの真ん中にバンカーがあるのです。せっかくいいショットしてワンオンしたと思ったらバンカーに入った、なんてプレーヤーからしたら「いじめ?」なんて思うこともあります。グリーンの中にバンカーがあるホールは、静ヒルズ(茨城県)や東児が丘マリンヒルズ(岡山県)などいくつかあるようです。
まとめ
以上、「ポットバンカー」についてまとめましたいかがでしたか?残念ながら国内では本当の「ポットバンカー」はなかなか経験できないですが、「アリソンバンカー」はいくつかのコースで経験できると思いますので、ぜひそういうバンカーのあるコースに行ったら、本場スコットランドのリンクスでプレーしているイメージで小さくて深いバンカーにぜひチャレンジしてみてください。
コメント