歴史的快挙からはや1年、今年もマスターズの季節がやってきました。
昨年の今頃は松山英樹選手のマスターズ初制覇でゴルフファンだけでなく日本国中が歓喜に沸きました。コロナなど暗いニュースが多い中、久々にスカッとする快挙でしたね。日本人としてはもちろん、アジア人としても初めてのグリーンジャケットでした。
その後の東京オリンピックでのプレーオフ進出(惜しくもメダルならず)、ZOZOチャンピオンシップおよびハワイアンオープン(ともに優勝)と松山選手の活躍が日本に明るい話題を提供してくれています。
目次
1.マスターズゴルフ2022夜中の放送でも大注目!
マスターズは1934年あの伝説のアマチュアゴルファー ボビー・ジョーンズと友人の実業家クリフォード・ロバーツの企画でスタートしました。最初は違う名称のトーナメントでしたが、1939年から現在のマスターズトーナメントとなりました。毎年4月の第二週に行われるのが定例になっていますが、第二次大戦中とコロナがまん延した2020年だけほかの時期に開催されました。
全世界から世界ランキング50位以内、メジャートーナメント優勝者など厳しい基準で選ばれたトップ中のトッププロ(マスターたち)しか出場できない、まさにゴルフの祭典ですよね。
マスターズ優勝者には世界中のゴルファーの憧れであるグリーンジャケットが贈られ、生涯マスターズへの出場権が得られます。マスターズがメジャー中のメジャーと呼ばれる所以がここにあります。
2.会場|オーガスタナショナルゴルフクラブ
マスターズが開催されるのはゴルフアーなら誰でも知っているあのオーガスタナショナルゴルフクラブです。美しい緑が印象的な世界中のゴルファー憧れのコースです。
オーガスタナショナルゴルフクラブ
7,510ヤード PAR72
所在地:アメリカ ジョージア州オーガスタ
設計:ボビー・ジョーンズ&アリスター・マッケンジー
開場:1932年
緑の美しさとガラスのグリーンと呼ばれるアンジュレーションの大きい超高速グリーンと真っ白なバンカーが特徴のゴルフコース。INの11番から13番の池が絡んだアーメンコーナーはあまりにも有名で毎年ドラマが生まれています。今年はさらに距離が伸び、7,510ヤードとなりました。
メンバーがわずか300名ほどのプライベートクラブで一般人がプレーするのはまず不可能。マスターズに向けてクローズ期間が長いのでメンバーでもなかなかプレーできないとか。また長年女性会員を認めてこなかったものの、2012年に初めて女性会員が2名誕生したことが話題となったこともあります。
また2019年からはオーガスタ・ナショナル女子アマチュア選手権の最終日だけを、このコースで開催しています。ちなみに、昨年は日本の梶谷翼選手(滝川第二高校)がプレーオフの末、優勝しました。
3.マスターズゴルフ2022!4つの見どころはココ!
松山英樹選手の連覇なるか?
今年のマスターズは松山英樹選手の史上4人目となる連覇なるか、ということが日本人には第一の興味でした。
交通事故後の出場タイガーウッズ選手
それ以上に全米の注目となったのは生死をさまよったと報道された昨年の交通事故以来のトーナメント出場となったタイガー・ウッズ選手でした。
世界アマチュアランキング中島啓太選手
個人的にはアマチュアながら日本ですでに1勝している世界アマチュアランキング1位の中島啓太選手が初めてのオーガスタでどんなプレーを見せtくれるのか、ローアマを取ってほしい、期待と楽しみがありました。
初日
初日は韓国の若きスター イム・ソンジェ選手が5アンダーでトップに立ち、日本の松山英樹、中島啓太はイーブンパーの19位タイといい位置につけました。松山選手はショットがいまいちで池ポチャなどがあったもののアプローチ好調でしぶとくパーを拾いイーブンパー、中島選手は最終18番のセカンドをグリーンオーバーしたのにパトロン(観客)の頭に当たってグリーン側に跳ね返るというラッキーもあってのイーブンパーでした。
2年ぶり出場のタイガーはさすがの貫録を見せ、1アンダーの10位タイ、もう一人の日本選手、金谷拓実選手は3オーバーの60位タイのスタートとなりました。
2日目|強風が吹き荒れる
2日目は強風もありスコアが伸び悩む中、一気にトップに立ったのは世界ランキング1位のスコッティー・シェフラー。8アンダーで2位に5打差をつけました。
2位タイには、この日69でスコアを伸ばした松山英樹やシェーン・ローリー、初日トップのイム・ソンジェなどが3アンダーで並びました。復帰のタイガー・ウッズは足を引きずるところも見せるなど万全でないものの、前半4ボギーを打つも後半3バーディで盛り返し、74でまとめ、2オーバーの19位タイで見事予選突破。大いにパトロンを喜ばせました。さすがオーガスタの申し子、タイガーといったところでしょうか。
日本から参戦の金谷拓実は5オーバーでカットラインに1打及ばず、また期待したアマチュアの中島啓太はオーガスタの洗礼を浴び79を叩いてしまい9オーバーで残念ながらともに予選落ちとなりました。
3日目
寒さと強風が選手を苦しめたムービングサタデーの3日目も首位を守ったのはスコッティ・シェフラーで1打伸ばして9アンダー。68とこの日全選手中唯一の60台で周ったオーストラリアのキャメロン・スミスが3打差の2位に浮上、イム・ソンジェが粘って4アンダー5打差の3位となりました。ジャスティン・トーマス、ダスティン・ジョンソン、ローリー・マキロイ、コリン・モリカワなど有力者が追う中、松山英樹は77を叩き、2オーバーでトップと11打差の14位と後退。連覇は難しい位置に。タイガー・ウッズも78と大崩れし、7オーバーで41位タイとなりました。
ちなみにタイガーの78は、アマチュアで出場した1995年の77を上回る、オーガスタでの自己ワーストスコア。
最終日
最終日はシェフラーと3打差で追うスミスの最終組となりましたが、スミスがいきなり1番2番で連続バーディを決め一気に1打差まで詰め寄りました。テレビを見ていた私も興奮し逆転を期待しましたが、続く3番のPAR4、お互いにセカンドをグリーンオーバーし奥からのアプローチが明暗を分けました。シェフラーはまさかのチップインバーディ、対しスミスはオーバーしたパーパットを決められずボギーとして再度3打差に。振り返ればここで勝負あり、だったのかもしれません。
シェフラーは5打差で迎えた最終18番で4パットのダボを叩きながらも71でまとめ10アンダーで見事優勝。世界ランク1位の貫録を見せ2日目から首位を譲らずの完勝劇となりました。2月のPGAツアー初優勝からわずか2か月、直近6戦4勝と破竹の勢いでのマスターズ初制覇(メジャーも初制覇)でした。スミスはアーメンコーナー12番PAR3でのトリプルボギーで万事休す。5アンダーの3位タイに終わりました。この日、猛チャージをかけたのはマスターズ以外の4大メジャーを勝っているローリー・マキロイで64をマークし一気に単独2位となりました。
最終18番でのガードバンカーからのチップインバーディは優勝したかのような大騒ぎでした。スミスと並んで3位タイに滑り込んだのは全英オープンを勝っているアイルランドのシェーン・ローリー。連覇を目指した松山英樹選手は粘りながらのパープレーで2オーバー14位タイと順位を上げることができず今年のマスターズは終了。パトロンの一番の注目を浴びたタイガーは最終日もボギー先行の苦しいゴルフとなり3日目と同じ78を叩き、13オーバーで47位タイに終わりました。
4.優勝者と上位入賞者を紹介
それではマスターズ2022で見事3位タイまでに入った選手をご紹介します。
優勝|スコッティ・シェフラー
優勝|スコッティ・シェフラー
10アンダー
国籍:アメリカ ニュージャージー州出身
年齢:1996年6月21日生まれ 25歳
身長・体重:190cm、91kg
プロ転向:2018年
世界ランキング:1位(マスターズ終了後も維持)
幼少期にテキサス州ダラスへ引っ越す
2013年-高校時代に全米ジュニア優勝
テキサス大学1年時には新人王を獲得
2017年-全米プロで「ローアマ」獲得
2019年-プロ転向後2019年下部ツアーで2勝し最優秀選手に選ばれた
2020年-PGAツアー本格参戦し、優勝はなかったものの「ザ・ノーザントラスト」でツアー11人目の「59」をマークするなど安定的に上位に食い込んでいた。
2022年-2月の「ウエイストマネジメントフェニックスオープン」でプレーオフの末PGAツアー初優勝をあげると、3月の「アーノルドパーマー招待」「WGCマッチプレー選手権」も制し自身初の世界ランキング1位となった。
2022年-その勢いでマスターズ2022も制し、わずか2か月で6戦4勝とした。いまもっとも乗ってるプロゴルファーである。
単独2位|ローリー・マキロイ
単独2位ローリー・マキロイ
7アンダー
国籍:北アイルランド
年齢:1989年5月4日生まれ 32歳
身長・体重:175cm、73kg
プロ転向:2007年
世界ランキング:7位(マスターズ終了後)
2009年-ドバイデザートクラシックでヨーロピアンツアー初優勝
2010年-クレイルホロー選手権でPGAツアー初優勝
2011年-全米オープンでメジャー初制覇
2012年-全米プロも制し、メジャー2勝目。タイガー・ウッズに続く最年少記録となる22歳10か月で世界ランキング1位となる
2014年-全米プロを2回目の制覇。全英オープンも制し、生涯グランドスラムへあとはマスターズのみとなる
15~16年、18年から19年シーズンと2回もフェデックスカップ年間王者に輝いた実績のある世界的スーパースター
21年-東京オリンピックにはアイルランド代表として出場した
3位タイ|キャメロン・スミス
3位タイ|キャメロン・スミス
5アンダー
国籍:オーストラリア
年齢:1993年8月18日生まれ 28歳
身長・体重:180cm、78kg
プロ転向:2013年
世界ランキング:5位(マスターズ終了後)
地元オーストラリアでプロ生活をスタートし、2014年にはアジアンツアーに参戦
2015年-出場した全米オープンで4位となりその後PGAツアーメンバーとなる
2017年-36年ぶりに復活したダブルス戦「チューリヒクラシック」でヨナス・ブリクスト(スウエーデン)とコンビを組みPGAツアー初優勝を飾る
2017年-同年オーストラリアで開催されたヨーロピンアツアーの一戦「オーストラリアPGA選手権」を制し翌年も連覇
2020年-今年松山英樹も制したソニーオープンインハワイに勝ちPGAツアー2勝目
2020年-コロナ禍で11月開催となった「マスターズ2020」では大会史上初めて4日間60台を出すも、惜しくもダスティン・ジョンソンに5打差をつけられ2位に終わった
2021年-チューリヒクラシックを再び制覇。
2022年1月-セントリートーナメントオブチャンピオンズに続いて3月には第5のメジャーと言われる「ザ・プレーヤーズ選手権」にも優勝しPGAツアー5勝目。勢いそのままマスターズ2022を迎えたが、今回も残念ながら3位に終わる。
3位タイ|シェーン・ローリー
3位タイ|シェーン・ローリー 5アンダー
国籍:アイルランド
年齢:1987年4月2日生まれ 35歳
身長・体重:183cm、102kg
プロ転向:2009年
世界ランキング:30位(マスターズ終了後)
2007年-アイルランドのアマチュアチャンピオン
2009年-アマチュアでアイルランドオープンに優勝しプロ入り。アマチュアでヨーロピアンツアーを制したのはシェーン・ローリーが3人目
ヨーロピアンツアーを主戦場とし、
2012年-ポルトガルマスターズでプロ初優勝。
2015年-WGCブリヂストンインビテーショナルで米PGAツアー初優勝を飾る
2019年-アブダビ選手権で久しぶりの優勝を飾ると、その年68年ぶりに地元ともいえる北アイルランド地域で開催された「全英オープン」でメジャー初優勝
歳も近く、同じアイルランド(マキロイは北アイルランド)出身ということでローリー・マキロイとも公私とも仲が良いことでも知られる。
まとめ
ジャック・ニクラウス、ニック・ファルド、タイガー・ウッズに続く史上4人目の連覇を目指した松山英樹選手でしたが3日目の大叩きが響いて残念ながら連覇はなりませんでした。しかし前週まで途中棄権や欠場していてケガの影響が心配された中、しっかりマスターズに照準を合わせ随所にディフェンデイングチャンピオンとしての意地、粘りを見せてくれました。今年の残りのメジャー大会、来年のマスターズに期待しましょう。またあと一歩のところで自己の生涯グランドスラムを逃したローリー・マキロイ選手にも来年悲願達成を期待したいです。
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