世界最古のゴルフ大会、メジャー大会である全英オープンゴルフが今年150回目という節目を迎えました。
記念大会にふさわしい開催コースは、全ゴルファーの憧れであり、ゴルフの聖地、セント・アンドリュースオールドコースです。例年になく穏やかな天候の中、7月14日~17日まで開催された今年の全英オープンについてまとめました。
目次
1.今年で150回を迎える全英オープンゴルフ2022
日本ではまだ江戸時代であった1860年に創設された最古のゴルフ大会です。今年で150回の記念大会となります。主催は英国のゴルフ団体R&A(ロイヤル&エンシェントゴルフクラブ)で毎年7月に開催されます。
メジャーの中で一番歴史と伝統ある大会であり、正式名称はTHE OPEN Championshipであり、全英とかゴルフの文字はありません。それだけ権威があって誰もが知っている大会ということになります。
スコットランドのリンクスコースを中心とした英国の8つのゴルフコースを持ち回りで開催されていて今年開催されたゴルフの聖地セント・アンドリュースオールドコースは代表する会場であって今回で全英最多の30回目の開催を迎えました。
優勝者に贈られるクラレットジャグ(優勝者に送られるトロフィー)は、
画像出典;Wikipedia
1873年に初めて贈呈されたトロフィーであらゆるスポーツの中で最も伝統的なトロフィーのひとつです。
2.会場|ゴルフの聖地セント・アンドリュースオールドコース
今年の全英オープンが開催されたのは、ゴルフの聖地セント・アンドリュースオールドコースです。全英オープンを開催するのは今回で30回目になります。
世界中のゴルファー誰もが一度はプレーしてみたい、憧れのゴルフコースです。全部で7コースあるセント・アンドリュースリンクスの中の一つのコースです。世界一古いゴルフ場と言われ、ゴルフの聖地と呼ばれる超名門コースですがメンバーシップではなくパブリックコースです。
セント・アンドリュースオールドコース
7,313ヤード・PAR72
所在地:英国スコットランド セント・アンドルーズ
開場:1552年
ゴルフ本来のあるがまま作られたコースで、テレビで見る限り決してオーガスタなどに代表される洋芝のきれいな緑、絨毯のようなグリーンというコースではありませんが自然のまま、ゴルフ本来の醍醐味が感じられるゴルフ場です。
きついアンジュレーションで止まらないグリーン、深いブッシュや112個ものポットバンカーが随所に張り巡らされていてただでさえ難しいコースであるのはもちろん、1日に四季があると言われるスコットランドのリンクスコースで主に強風との闘いがドラマを生みます。
最大の名物ホールは17番のPAR4。ティーショットは右に見えるホテルを越えて打っていく、テレビ中継でもおなじみのホールです。セカンドはグリーン手前にあるバンカーが数々のドラマを生んできた歴史があります。
1978年の全英オープンで日本の中島常幸(愛称:トミー中島)が優勝争いの中、このバンカーに入れ、脱出に4打を要し9打を叩いたことから別名トミーズバンカーと呼ばれていて日本人にもなじみがあります。
3.日本人選手7名が出場した試合経過まとめ
日本人も7名出場した第150回全英オープンゴルフの経過をまとめました。今回の全英オープンは珍しく天候に恵まれ、雨もわずかで風も強風というまではなくて時折ビッグスコアが飛び出す展開で優勝スコアも全英オープンとしては高スコアとなりました。
初日|キャメロン・ヤングが好調
トップに立ったのは64をマークした今年からPGA本格参戦したルーキー、アメリカのキャメロン・ヤング。地元のロリー・マキロイが2打差の2位につけました。
期待の日本勢は、エース松山英樹と若手有望株桂川有人が1アンダーの35位タイ、世界アマチュアランク1位の中島啓太がイーブンパーで昨年覇者コーリン・モリカワと並んで55位タイにつけますが、比嘉一貴が1オーバー、77位タイ、金谷拓実が101位タイ、星野陸也119位タイ、今平周吾は80を叩いて152位と出遅れました。
そしてみんな注目のタイガー・ウッズはボギーが先行し6オーバー146位タイと大きく出遅れました。
2日目|キャメロン・スミスが一気にトップに
2日目64をマークして13アンダーとして一気にトップに立ったのはオーストラリアのキャメロン・スミス。初日首位のキャメロン・ヤングもしっかりスコアをまとめ2打差の2位につけます。ロリー・マキロイが3打差3位タイ、その後にダスティン・ジョンソンがつける展開となります。
期待日本勢は松山英樹が後半伸ばせずトータル1アンダー55位タイでなんとか予選通過。トップと12打差で苦しい展開。そんな中海外メジャー初挑戦の桂川有人が68で5アンダーとしてトップと8打差あるものの18位タイと日本勢トップで決勝ラウンドに進出しました。
通算イーブンパー66位タイまでの83名が決勝に進みましたが、前年覇者コーリン・モリカワ、日本の金谷拓実は1打及ばず予選落ち。タイガー・ウッズも2日目も75とスコアを崩し9オーバー148位で2日間の戦いを終えました。残念ながら桂川と松山以外の日本勢5名はすべて予選落ちとなりました。
3日目|日本勢が不調
3日目はロリー・マキロイとノルウエーのビクトル・ホブランが66をマークして12アンダーで首位タイに躍り出ます。4打差でキャメロン・スミスとキャメロン・ヤングが追う展開に。
日本勢は桂川有人が75で55位タイに後退。松山英樹も不運もあってトリプルボギーやダブルボギーを打ち76で80位と優勝を狙うには難しい位置となってしまいます。
最終日|キャメロン・スミスが逆転初優勝!
4打差で首位に並ぶ上位2人の優勝争いと思ってみていましたが、ホブランがバックナインで崩れ75,マキロイも後半惜しいパットがなかなか入らずスコアを伸ばせず70とするところ、バックナインで6つのバーディを量産して64を叩き出したキャメロン・スミスが4打差を逆転してメジャー初優勝を飾りました。
また初日から安定したプレーを見せたキャメロン・ヤングも最終18番でイーグルをとり65とするも1打及ばず2位となりました。2度目の全英制覇を目指したロリー・マキロイは残念ながら3位となりました。
キャメロン・スミスはオーストラリア人としては5人目、93年のグレッグ・ノーマン以来29年ぶりの優勝となりました。優勝スコアの20アンダーは2000年にタイガー・ウッズが出した19アンダーを超え、セント・アンドリュースでの優勝スコアを更新しました。
日本勢は最終日は意地を見せ、桂川が69で5アンダーとして日本人最高位の47位タイ、松山も貫録を見せ67をマークして68位タイまで順位を上げました。
4.優勝者および上位入賞者まとめ
それでは7年ぶりのセント・アンドリュースオールドコースでの全英オープンで見事3位までに入った選手をご紹介します。
初優勝|キャメロン・スミス選手
優勝:キャメロン・スミス20アンダー
国籍:オーストラリア
年齢:1993年8月18日生まれ 28歳
身長:180cm
体重:78kg
プロ転向:2013年
世界ランキング:2位(全英オープン終了後)
地元オーストラリアでプロ生活をスタート
2014年-アジアンツアーに参戦
2015年–全米オープンで4位となり、その後PGAツアーメンバーとなる
2017年-36年ぶりに復活したダブルス戦チューリヒクラシックでヨナス・ブリクスト(スウエーデン)とコンビを組みPGAツアー初優勝を飾る
同年オーストラリアで開催されたヨーロピンアツアーの一戦オーストラリアPGA選手権を制し翌年も連覇
2020年-ソニーオープンインハワイに勝ちPGAツアー2勝目
2020年-コロナ禍で11月開催となったマスターズでは大会史上初めて4日間60台を出すも、惜しくもダスティン・ジョンソンに5打差をつけられ2位に終わった
2021年-チューリヒクラシックを再び制覇
2022年1月-セントリートーナメントオブチャンピオンズに続いて3月には第5のメジャーと言われるザ・プレーヤーズ選手権にも優勝しPGAツアー5勝目
勢いそのままマスターズを迎えたが、3位に終わった
2022年-今回の全英オープンでメジャー初優勝を飾った
2位|キャメロン・ヤング選手
2位:キャメロン・ヤング 19アンダー
国籍:アメリカ
年齢:1997年5月7日生まれ 25歳
身長:180cm
体重:84kg
プロ転向:2019年
世界ランキング:19位(全英オープン終了後)
2019年-プロ入りし今季からPGAツアーに本格参戦したばかりのルーキーでゴルフの名門、ウエイクフォレスト大を卒業
2020年-下部ツアーのコーンフェリーツアーでピナクルバンク選手権のマンデー予選からいきなり本線で11位タイに。その後4戦連続で16位以内に入る健闘を見せる。その結果20年秋からコーンフェリーツアーへの出場権(特別条件枠)を手に入れた。
2021年-2勝してシーズントップ10に入り、秋からPGAツアーへ参戦。
2021年-2試合のみの出場でザRSMクラシックでの29位が最高成績
2022年-ジェネシス招待2位、アーノルドパーマー招待13位など順調に戦績を重ねて世界ランクを上げ、4月のマスターズにも出場した(予選落ち)
その後はRBCヘリテージ3位/ウェルズファーゴ選手権2位/そして全米プロゴルフ選手権3位と着実に成績を上げ注目される
2022年-全英オープンでメジャー最高位の2位となった
少し違った形でのPGA参戦経路で下部ツアー参戦からわずか2年足らずで大躍進を遂げている今後要注目のプロゴルファーである
3位|ロリー・マキロイ選手
3位:ロリー・マキロイ 18アンダー
国籍:北アイルランド
年齢:1989年5月4日生まれ 33歳
身長:175cm
体重:73kg
プロ転向:2007年
世界ランキング:3位(全英オープン終了後)
2009年-ドバイデザートクラシックでヨーロピアンツアー初優勝
2010年-クレイルホロー選手権でPGAツアー初優勝
2011年-全米オープンでメジャー初制覇
2012年-全米プロも制し、メジャー2勝目。タイガー・ウッズに続く最年少記録となる22歳10か月で世界ランキング1位となる
2014年-全米プロを2回目の制覇/全英オープンも制した
15~16年、18年から19年シーズンと2回もフェデックスカップ年間王者に輝いた実績のある世界的スーパースター
2021年-東京オリンピックにはアイルランド代表として出場し、銅メダルをかけたプレーオフの末4位に
2022年-生涯グランドスラムにあと一つとなっているマスターズで最終日64と猛チャージをかけるも惜しくも2位、その後も全米プロ8 位/全米オープン5位などメジャーでも安定したゴルフを続けている。
まとめ
今年のメジャー大会も全英オープンで最後となりました。日本勢にとっては残念な結果となりましたが、優勝したキャメロン・スミスはいつメジャーを勝ってもおかしくない選手の一人でしたので順当な結果と言えるかもしれません。
それにしても7年ぶりに見たセント・アンドリュースオールドコースは天候には恵まれたとはいえ、うねったフェアウエイに、そこまでやるか?と思えるようなアンジュレーションのある大きなグリーン、アマチュアでは絶対出ないと思えるポットバンカー、など改めて難しいコースと再認識しました。こんなコースで64や65を出すトッププロの技術のすごさも改めて感じました。
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